少し見えてきたスレイヤーズREVOLUTIONの方向性

 6話賛否両論ですね。私は下に書いたように普通に面白かった派です。元々ギャグも好きな人間だったもので。6話までを見た印象から感じるスレイヤーズREVOLUTIONの方向性などを簡単に書いてみます。ストーリーには直接は触れませんが場合によってはネタバレと感じる人もいるかもしれません。
 8/9 一部追記。

 まず、大きく感じているのはスレイヤーズって20年続いているだけあって、ファンの好みや通ってきた道がが千差万別なんだな、ってことです。シリアス展開が好きな人、ギャグが好きな人、両方OKな人。ファンになったきっかけも原作を初期から読んでる人もいれば、アニメから入った人もいる。アニメは既にマニアックな考察などをしながら見ていた人もいれば、子供の頃、普通にギャグを笑って見ていた人もいる。アニメ展開が一段落してからの過ごし方も各人バラバラでしょう。もうすっかりスレイヤーズから離れてしまった人。原作本編終わりまでは見届けたけど、それ以降はご無沙汰だった人。そして、ずっとファンだった人。今回のアニメ化に当たっても、往年のファン、帰ってきたファンもいれば、全くの新規で見始めた人や、お父さんお母さんと見ている子供もいる。こうなってくると、全てのファンや視聴者が100%満足するアニメ化というのは無理・・・とは言わずとも、かなり難しいでしょう。10年ブランクがあったことも大きい。
 13年前、スレイヤーズが初めてアニメ化の際、作品の方向性を決めるに当たって渡部監督と神坂先生の間にこんなやりとりがあったらしい。監督的には二つの方向性が頭の中にあったそうです。一つは原作本編のマニアックな世界観を生かしたもの。もう一つはギャグベースの誰でも楽しめるもの。神坂先生と最初にその辺を打ち合わせたとき「赤ずきんチャチャみたいにして欲しい」と言われ、ギャグベースの誰でも楽しめる方向性に決定したんだとか。(出典調べたけど見つけられず。中途半端で申し訳ない。でも確かに読んだ記憶があるエピソードです。)

★追記 コメント欄への投稿で出典判明しました。方向性の話は無印のサントラ「えとせとら 1」、チャチャの話は猫南蛮亭の渡部監督のコラム(ミラーサイト)でした。ありがとうございました。どうやら私の記憶の中で複合されたようで。でも一緒になってるバージョンのお話も読んだことがあるような・・・。この辺もうろ覚え。

 この方向性の決定は商業的には成功したと言っていいでしょう。原作のメインターゲットであったであろう中高生だけでなく、小学生やそれ以下の世代にも楽しまれ、アニメは大ヒット。そして当時子供だったファンが今なおスレイヤーズを支えている。ファンタジーに詳しくない人が見ても楽しめる内容になっていたので、気軽に見始めていつの間にか原作の裏に潜む細やかな設定の虜になったファンも多いのでは?
 で、REVOLUTIONの話に戻る。REVOLUTIONは過去3部作と違って深夜枠での放送です。でも、制作陣が「深夜だから今度は全面マニアックな方向で」という選択をしていないのは明白でしょう。前作の始めに決めた路線を踏襲しています。2chで「このアニメの原作は10年前のアニメ」という書き込みを見ましたが、的を得ていると思います。10年前の雰囲気の再現、これがREVOLUTIONの前提にある方向性でしょう。序盤でギャグ路線の話が多いのもその為かな、と思います。新規層や、久しぶりにスレイヤーズに触れるファンに親しみやすく、分かりやすく。これがまず第一の目標だったのでは?
 かといって、シリアス展開や設定考察などが大好きなファンへの考慮がないわけではない。それが5話でした。この話は非常にマニアックです。前作を見ていることはもちろん、原作も読んでいないと100%理解するのは難しかったのではないでしょうか?実際、新規の人の「よくわからない」、久しぶりに見ている人の「単語を忘れている」といった感想を見かけました。
 6話までの印象だと、各回ごとにテイストを変えて、多種多様な視聴者層のニーズに応えようとしているのでは?という印象を受けます。それが狙ったものなのか、試行錯誤の上、結果的にそうなってしまったものなのかはわかりませんが。1話ごとに見ると、この回は私としては面白かった、この回はイマイチ、というのが割りとはっきりしている印象なんです。ただ、今のところ、その余波でシリーズとして見ると話と話の繋がりが悪くなってしまっているのは残念ですが。
 私は最初は、深夜枠と聞いたとき、今度はマニアックな路線をやってくれるかな?と期待していたんです。でも、あくまで前作までを踏襲するようです。だけど、新規の人や久しぶりに見る人、はたまた親と一緒に見ている子供層が「面白い」と言っているという感想を見るとなんだか嬉しかったのも事実。自分が好きなものが、また多くの人に興味を持って貰えるのが嬉しいのかな。始まる前に「今更・・・」って言われたり、「新規取れないだろう」なんて意見を目にしていただけに。
 さて、まだまだシリーズは序盤です。新しくor久しぶりにスレイヤーズに触れた人もだんだん雰囲気にも慣れてくるだろうし、後半戦に向けてストーリーの方も盛り上がっていくのでは?と思っています。思えば旧作もそんな流れだったしなあ。なのでギャグはギャグで楽しもうと思っています。

★8/9追記
 過去の資料を少し読み返しました。TRYのスペシャルコレクションというムック本の監督インタビューで、「TRYは深夜番組じゃないけど深夜番組的に視聴者層を限定して作った。スレイヤーズのファンとTVアニメのファンがターゲットだった」という話が載っていました。なるほど、限定する方向性は一度やっていたんですね。当時は3年連続で放送してましたし、もしREVOLUTIONが4年目の深夜枠だったらそれこそもっと視聴者層を絞るような方向性になったかもしれない。10年ブランクが開いたことで、少し離れてしまったファンや新規層へ配慮して、ある種の原点回帰的な方向性になったのかな・・・と思いました