新装版スレイヤーズ13〜15あとがき ネタバレ感想

 明日発売ですが、bk1より本日届きました。入荷・注文したのは昨日の夜ですが、250円プラスして宅急便指定にすると、関東一円は当日便で送ってくれるので無事本日入手です。予約だと強制的にメール便(二日後着)になるので、早く欲しい場合は「24時間以内発送」になってから注文しましょう。
 さて、あとがきがいい話満載だったので、思わず先行で感想を。表紙絵の話も少し。本編内容については後日また感想を書きたいと思います。


 まず表紙絵・・・すばらしく細かすぎて感動。名前のない魔族まで登場してます。あと、こっそりマイアス君もいる!なんか巻数が進むにつれてどんどん細かいキャラまで登場するようになってますね。あらいずみ先生、どんどん乗ってきたのかな?ほんとGJです。

 あとがきの話。旧版「降魔への道標」のあとがきで嘘つきましたカミングアウトwほんと、この巻だけ読んだら何が降魔への道標なのかさっぱりわからないわけですが、実はきっちり降魔計画は進行しているという・・・。ネタバレ回避のため、さらっと嘘をつく神坂先生・・・侮れませんwDOORSあとがきもそうだったんだよなあ。「伏線とかありません」といいつつ実はちゃんとあったし。結局覇王の計画通りにはならなかったわけだけど、それとは関係ないところで魔王が復活してしまうという切なさが2部のテーマにも繋がる部分。そんな覇王はL様に今回のエピソードを「中間管理職がぼこられる話」と纏められたw作者には「板ばさみになって苦労した」とも。うーん、あんまり深く考えずに人の真似だけで行動したようにみえる覇王さんだけど、実は苦労人だったのか?「冥王様滅んじゃった・・・これはやばいぞ!ここでワシが動かねば!でもどうしよう・・・?とりあえず降魔戦争真似しとこう。・・・ええい、うまくいかないぞ。部下に当たっちゃえ。」・・・やっぱりあんま同情できませんw

 ターニングポイントな話なせいか、あとがきも濃いです。
 2部にゼルとアメリアが出なかった理由が明らかに。ネットでもよく見かけていましたが、やはり「14巻の展開のためには回復役は出せなかった」というのが真相らしい。アメリアを出しても同じ流れにすることも可能だけど、その段取りや説明に余計な分量を食うから、とも付け加えられています。確かに、読みやすさや話のテンポを重視するなら「回復役がいなかった」という流れの方が自然です。そういえばアメリアが生まれた経緯も「最初は4巻でナーガを出す予定だったけど、説明が長くなるのでやめてアメリアを新キャラとして出すことにした」と言うような話を聞きました。スレイヤーズという作品において、キャラクターの魅力と言うのはとても大きい。だけど、そこでキャラクターに頼らず、あえて読みやすさやテンポを重視するという神坂先生のスタイルは個人的には好印象です。とは言え、ゼルとアメリアのファンにしてみれば二人を出して欲しいという気持ちはすごくわかるので、「出ていなくて残念」という意見が出るのも納得で、その辺は見解が分かれるとことだと思う。実際、2部がアニメ化されない要因の一つに「ゼルアメが出ていない」、っていうのはあるだろうし。
 さて、話題変わって回復系の話の例のところですが・・・ドラクエ、FFはわかるんですが、サブマシンガン云々の話の元ネタがわかりません。ご存知の方、是非教えてください。
 「こういう話なので書いているときに気持ちに流された。今読み返すと冷静さを失くしているなあと思うところがある」というお話のところは意外でした。ファンクラブ会報の作者インタビューによると、ミリーナが死んでしまうという展開は2部を書き始めた当初から決めていたそうで、そのインタビューでも読者からの質問攻めの中、「決まっていたことだから」と言うような感じであっさり目に語っている印象があったんです。神坂先生の中ではあえてこの展開にすることで書きたいものがあって、それは割り切れていたのかな、と思っていたのですが、それでもやはり迷いのようなものがあったのかな・・・としみじみ思いました。でも、いい意味でリナとシンクロしたことで出た味はあると思う。書き直したい部分もあったそうです。手直しされるなら読んでみたいと思いつつも、ご本人が言うとおり、あんまりやりすぎるのもグダグダになる危険性があるよなあ。
 さて、最後。なんかL様が非常にL様らしいことを言っているw「誰もいない。トラブルが起こりようがない。つまり真の平和ってことね」。これはフィブリゾが言うところの「存在は多くの矛盾を生むけど無は無でしかない」っていう魔族の正義理論ですね。やはり思想の大元はL様だったのか。作者の「何かのゲームのラスボスか」というツッコミに「あたしってそういうポジションだと思うけど」と返すL様・・・ごもっとも。毎度あとがきでは好き放題遊んでいるけど・・・やはりその存在は大きな方ですな。

 部下S登場!と思ったら洗脳されてるw作者もその餌食に・・・。とギャグも面白いんですが、最終巻のあとがきらしくさわやかにいいことを語ってくれています。
 「長編スレイヤーズはこれにて完結。この後のリナとガウリイたちはどうなるのか―明確な答えはわざと用意していません。(中略)様々な想像妄想の余地を残したまま、この物語を締めたいと思います。」
 未来を感じる15巻表紙絵と相まって、なんかすごく感動した。最初の方のあとがきでも語られていましたが、神坂先生的には「読者の想像の余地」という部分をとても大事にされている方なんだなあ、と強く思った。読者の数だけ二人の未来があるんだなあ。これは実質上、「2部の後の話を書くつもりはありません」という改めての宣言で、そういう意味ではちょっと残念だけど、作者が書きたいと思ったことを書ききった上で、「あとは皆さんで想像して楽しんでください」、という素敵な投げかけは受け止めたいと思う。読者のスレイヤーズへの思いが続く限り、スレイヤーズは終わらないんだな・・・そう思った。神坂先生、このようなすばらしいお話を本当にありがとうございました。