アビスゲート3「楔を穿つ淵の使者」ネタバレ感想

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 さて、あまりに放置しすぎなので、たまには感想を書こうと思います。Twitterつぶやきの再構成で恐縮ですが…神坂一先生最新作アビスゲート3巻の感想です。一部ネタバレ有…だけど、物語の核心に触れる部分は暈しますので、アビスゲートをまだ読んでいないスレイヤーズファンの方にもよかったら読んでいただけると嬉しいです

 
 待望のシリーズ3巻目…いろいろ語りたいことはあるけど…まず一つ。
 「異形の山を吹っ飛ばせるような術が使えるような化け物を抱えていたら内乱など起こらなかった」
 化け物…リナさんのことかー!!思わず吹いたわwスレイヤーズだったらこの事件一瞬で解決なのですね…w
 このくだりで確信したのですが…アビスゲートはある意味「スレイヤーズとは違う普通のファンタジー世界」というのを意識して書かれてるのかな、と思う時があるのです。実は冒頭の状況からしてスレイヤーズと似ている。アビスゲートも盗賊退治のシーンから始まります。でも…方や女の子一人が盗賊壊滅した後なのに対して、アビスゲートは大の男が5人も集まって緊張感の中盗賊退治ですよwなんというか…リナってやっぱすごいのね…。スレイヤーズ世界に慣れ親しむと当たり前になっちゃってるけど…よくよく考えるとあの世界…というか主にリナのパワーバランスおかしいwwリナの扱える魔法というのはそれだけ大きなものなんですねえ。女の子一人が軍隊一つ壊滅できてしまう…それがスレイヤーズ世界のパワーバランス。
 アビスゲート世界の魔法=神呪(セレストル)はそこまで強力なものとしては描かれていません。あくまでメインは白兵戦で、補助として魔法を使える人もいる、という感じ。それでもあるだけでだいぶ優位には立てるようですが…相手がデカブツだったり、圧倒的大多数だったりするとお手上げなようです。
 そして、アビスゲート主人公のクラウスくんは年相応の駆け出し丸わかりな傭兵です。リアル保護者兼師匠の叔父上と一緒に仕事をしています。これが普通だよねえ…。リナさんは戦闘能力という意味では15歳でもうベテラン戦士の域に達しちゃってるのとは対照的です。
 スレイヤーズは世に登場した当初は「ファンタジーとしては異端」と言われていたそうです。今は所謂「剣と魔法のファンタジー」が世の主流ではなくなったので逆に「王道」と称されることが多いですが。アビスゲートを読んでいると「異端」の意味がちょっとわかる気がするのです。逆に言えば、アビスゲートはまさに「王道ファンタジー」と言えるのではないかと。
 比較話ばかりでもなんなので以下は完全ネタバレでアビスの話を。
 この間の序盤でいきなり崩壊するテーニア一味。「いいとこ無しかよ」というヴィンカートの最期のセリフがはまりすぎなくらいあっさりと…。しかもラングルは裏切るし!この辺の容赦ない展開は神坂先生だなーと思う。そしてテーニア尋問フォックスには唸ったこれもまた神坂節ですね。誘導尋問とかまかけ会話ほんとうまい。テーニアはこの処遇と過去が明かされたことで一気に同情を引くキャラになりましたが…彼女どうなるんだろうか…。1巻からクラウスと絡んでましたし、普通に考えたら協力者になるのかな、という気もするけど、敢えて外してくるかもなー。お父様への妄信がどこまで続くかがキーかな?
 クラウスVSリオネルの戦いの行方も気になります。この二人も分かりあうのかはたまた悲しい結末なのか?クラウスはだんだんいい男になって来ましたね。成長タイプのキャラなので今後の展開共々彼の行く末も楽しみ。
 その他にもイスマイトの動向とか、「王」の真意とか、ターシュ公の出方とか、コモリウム軍の行く末とか…色々気になるのは多角展開している本作の魅力。
 で、…続きはいつなのだろう…w結局はそこに行き着くw神坂先生、早めにお願いしますw