プレ2部としてのスレイヤーズREVOLUTION、そしてスレイヤーズTRY

 スレイヤーズREVOLUTION11話まで、そして原作第2部のネタバレ含みます。


 スレイヤーズREVOLUTIONは原作2部のエピソードへの準備段階なのではないか?そんな話は開始当初からありました。まずは原作ではスレイヤーズすぺしゃるに登場し、2部で再登場することになるワイザーが今回のレボで登場すること。すぺしゃるでの該当エピソードはアニメでは語られていませんし、そんなワイザーがいきなりリナの知り合いとして2部該当エピソードで登場してしまうのはあまりに唐突です。無印でフィルさんと初めて出会うエピソード(原作だとこれもすぺしゃるのエピソード)を作中に登場させたのと同じパターン。
 そしてもう1点は原作と同じ設定のザナッファーの登場。ザナッファーは一度無印で登場していますが、そのときの設定は原作とは異なり「無限のパワーを秘めた精神生命体」という扱いでした。REVOLUTIONのザナッファーは原作と同じ、「初めは鎧、次第に装着者を食らって生体になる」「アストラルサイドからの隔離により魔法が効かない」という設定。この原作ザナッファー技術を応用して作った「ゼナファアーマー」を着たエルフのメンフィスというキャラクターが2部には登場する。しかもこのゼナファは覇王戦においてかなりキーアイテムになる。そのためには原作設定と同じザナッファーを出しておく必要がある。
 実際に2部エピソードがアニメ化されるのか?それはGLORY(仮)が始まってみないとわからない。でも、そのための布石はしてある。
 そして、もう一点、そのための布石なのでは・・・と思えたのがポコタとデュクリスの関係です。以下は深読みしすぎなのかもしれないけど、一応持論を展開してみます。
 デュクリスは疫病により滅びつつあった祖国タフォーラシアを救わなかった周辺諸国を恨み、復讐を企てる。その対象は逆恨みとも取れるくらい広い範囲。それを「友達だから」という理由で止めようとするポコタ。この構図は2部の14巻、ミリーナを失ってしまった悲しみから復讐に取り付かれてしまったルークを止めようとするリナの状況に似ている。更に言うなら、スレイヤーズTRY。己の種族の迫害から端を発し、いつしかこの世のすべてを憎むようになってしまったヴァルガーヴ。彼もダークスターの力を使い、世界を滅ぼし、浄化しようとします。迫害を行ってしまった黄金竜一族の末裔であるフィリアは責任を感じ、彼を止めようとする。この状況も2部に似ている。似ているけど被っているわけではない。これは2部でリナが経験する出来事のテストケースなのではないかと。
 リナはすぺしゃるの時代から、色々な人から仕事の依頼を受けて、それを解決する過程で世の中の裏も表も色々見てきてる。でも、それはあくまで事の当事者としてではなく、あくまで傍観者として。「傍観者」と言っても事件の解決に当たってはリナも手を貸しているので「見ているだけ」というわけではないですが。
 すぺしゃる30巻収録の「踊る迷宮」。遺跡盗掘の犯人が部下の魔道士だったことを知った依頼人が動揺と怒りを見せる中、リナは淡々とこう言う。「知り合いに裏切られるのはショックだと思うけど・・・ま、あんまり落ち込まないこと。世間じゃあ結構あるから、こういうこと」15歳とは思えないくらいあまりに達観した物言いです。この辺は傍観者としての経験のなせる業なんだろうなあ、と思う。リナ自身が裏切られて手痛い目を見た経験・・・まあナーガはすぐ裏切るし、依頼人側が実は犯人だったってパターンもよくあるけど、「信用していた人物に裏切られた」という経験はないのではないか?そんな気がする。この点に関しては、リナ自身が疑り深い性格だから、というのもあると思うけど。
 さて、リナが解決してきた事件の記憶は彼女の中に世間一般のテストケースとして蓄積されている。TRYのフィリアとヴァルガーヴ、そしてREVOLUTIONのポコタとデュクリスの事件もまたそうでしょう。TRY、REVOLUTIONでリナは逆境に立たされたフィリア、ポコタを強く励まします。しかし、14巻、15巻でいざリナ自身が似たような状況に立たされた時、・・・彼女が見せたのはあまりにも脆い姿でした。仲間と認めた相手がやりきれない事情から復讐に手を染める姿、そして自分の前に敵として現れたことがどれだけ衝撃的な事実なのか・・・前に似たような状況は見ているはずなのに・・・。あの時は仲間を励まし手を貸すことは出来た。でも、いざ自分の身に降りかかると、それはとても重く、ショッキングだった。・・・と言うのを演出する効果になるのではないかと。
 私はTRYあんまり好きじゃなかったんですよね。理由はいくつかあるんですが、その一つに「最終局面においてリナが傍観者的なたち位置になってしまった」というのがありまして。でも、それでよかったんです。リナが立ち向かわなければならない「逆境」はもっと先にあったんです。それが第2部の終盤。TRYはそのためのテストケース。そう思えばありのような気がしてきた。
 そしてREVOLUTIONもまた。11話でリナはポコタに「デュクリスを止めるのはあんた」と役割を示した。リナ自身も認識しているとおり、残り2話でのリナの役割は「ザナッファーを倒すこと」に集約されると思う。デュクリスの復讐劇のドラマの部分には絡まないでしょう。でも、それでいいと思う。これも2部への助走。更にはREVOLUTIONは「王道アニメとしての爽快感」がテーマの一つのようなので、ザナッファーと言う「問答無用で倒すべき敵」を相手にリナがその辺の爽快感を魅せてくれるんじゃないかなと思う。倒す相手と止める相手が分かれていることで、リナとポコタ双方の役割分担がはっきりしている。この構図はわかりやすいんじゃないかと。
 以上のように考えると、やはり2部は最後までアニメ化して欲しいなあ。でも、もし5期で第2部エピソードに突入するとしても、最後まではいけないだろうなあ・・・。
 なんかREVOLUTIONをきっかけにTRYを少し受け入れることが出来たような気がする。