「世界を見て来い」の話

 だーくまろさんのブログで「世界を見て来い」の話をされていたのを見て、1ネタ思いついたので思うところをまとめてみます。
 「世界を見て来い」…姉ちゃんがリナに言った言葉で、リナが旅を始めたきっかけ。姉ちゃんがなぜこの言葉をリナに言ったのか?、リナの旅立ちのエピソードとは?この辺を私なりに考察と妄想を。かなり長文です。
 まずはリナと姉ちゃんの関係について考えていきます。リナにとって姉ちゃんは、数々のトラウマから恐怖の対象であり、「いつか勝ちたい」と思うライバル視する相手であり、それでいて憧れの対象でもある。恐怖は説明するまでもないですが、姉ちゃんはリナに幼少期から鬼のようなしごきを加えており、リナはその記憶から精神的な面で「勝てない」「怖い」という印象を刷り込まれている。次にライバル心。そもそもリナが、魔法を習い始めたのも姉ちゃんへのコンプレックスからだったらしい(超巨大あとがきより)。「イルマード公国でのバカンス体験」など、小さいことにも対抗心を燃やしたり、いつか勝つためのモデルケースとして母親に似たような目に合わされたマーリーンに助力してみたり、と恐怖心を持ちながらも対抗心もある。そして、憧れ。リナは時々格言のように姉ちゃんの言葉を引用してみせる。これは姉ちゃんへの信頼の表れでしょう。
 総合して…一言で言えば、リナは姉ちゃんが大好きなんですよ。そして、その姉ちゃんに自分を認めてもらいたい。この思いが旅に出る前のリナの中で大きな位置を占めていたのではないかと思います。リナは姉ちゃんに受けたいからという理由で翔封界覚えていました。そしてはリナが姉ちゃんに仕掛ける数々のいたずら。悪さしては井戸に放り込まれたり、投影機で姉ちゃんの入浴シーンを近所の兄ちゃんたちに有料公開してみたり。お仕置きされるのは分かっていたと思う。…どんな形でも自分を見て欲しかったんじゃないかと。まあ、いたずら好きなのは地もあるだろうけど。
 魔法を習い始めたリナは、すっかり畑が合ったようで、魔道にのめりこんでいきます。魔道を習い始めた頃は面白くて色々呪文のアレンジを考えたりしていた(うろ覚えだ)そうで。魔法の研究自体は好きでやっていたんだと思うんですが、先に挙げたように「姉ちゃんに受けたいから」という理由で翔封界を覚えたこともあり、やはりそこにちらつく姉ちゃんの影。
 魔道士として才能を開花させたリナはゼフィール・シティの魔道士協会特別ゲスト扱いで称号の服を授与されます。顛末はご存知、ピンクローブを授与されて姉ちゃんに爆笑される、というもの。今でこそ笑い話(いや、本人は怒りに転化してるけど)ですが、当時はそこそこショックだったんじゃないかなあ。リナ的には魔道士協会に認められても、姉ちゃんに認めてもらえなければ意味がないわけで…。立ち直りは早かったと思うけどさ。
 リナ曰く、姉ちゃんは「竜破斬を普通の剣で斬ったり、受身でかわしたりする」らしいんですが…これはもう仕掛けたことがあるからなんだと思うwリナは姉ちゃんへの恐怖心もありつつ、それでもチャレンジャーとして、何度も姉ちゃんに挑み続けていたのでしょう。しかし超えられない壁。
 この身近な「壁」の存在は、正の側面、負の側面を両方持っていて。
 正の側面の一つ目は、姉ちゃんを目標にすることで、現状に満足せずに高みを目指し続けられたこと。もう一つは、挑む→負ける→挑むの繰り返しにより、強靭なバイタリティが養われたこと。リナの性格は姉ちゃんの影響大きいんだろうなあ。あとは戦略的思考にも影響出てるんじゃないかな、と思ったり。ゲーム思考で申し訳ないんだけど、ゲームで同じ敵で何度も行き詰ると、「今回はこれがだめだった、じゃあ次はどうする?」って考えるじゃないですか。やり方変えて見るとか、根本的にダメならレベルを上げて見るとか。リナも仮想姉ちゃんで何度もシュミレーションをしていく中で、状況を見極め、どうしたらいいかを考える能力が養われていったのではないかと…って考えすぎか、これはw考えながら思ったけど、リナは魔道士としては天才かもしれないけど、戦士として、人間としては努力の人なんだろうな。あのバイタリティは根っからの天才には生まれない気がするのよね。自分では「努力や根性は嫌い」って言ってるけどさ。泥臭いところは見せたくないんだろうね。個人的にはリナにも作中では描かれていない下積みの時代があるのでは?と思っています。姉ちゃんにリカバリイ事件とか、その辺匂わせる描写はありますし。
 脱線しましたが、話し戻って…負の側面としては…頭の中のベクトルが姉ちゃんにばかり向かってしまったこと。もう、とにかく寝ても覚めても「姉ちゃん、姉ちゃん」と、姉ちゃん大好きすぎたわけです。…そんな姉の背中を追い続けるリナに、姉ちゃんことルナ=インバースは、こう言うわけです…「世界を見て来い」と。もしリナが旅に出ず、ゼフィーリアに留まっていたら…リナは偉大すぎる姉の影に押しつぶされて、その才能を存分に発揮できずに埋もれていたように思います。ベクトルが「姉ちゃん」だけに向かっているという意味で。「勝ちたい」と願いつつも、「勝てない」という苦手意識も抱いていますから、その辺のジレンマが拡大して行ったら、道を踏み外したり自滅したり…なんてこともありえたかもしれない。姉ちゃんはリナにもっと広い世界を見て、広い視野を持って欲しかったから、「世界を見て来い」と言ったんじゃないかな、と。
 この言葉を言った状況のイメージ…リナが魔道士として実力を付けてきたものの、それでも姉ちゃんに敵わないことに焦りを感じ始め、少し落ち込んでいるようなとき、かな。夜、リナの自室を訪れた姉ちゃんがおもむろに切り出す。
「リナ、世界を見てきなさい。」
「へっ、世界を見る?…どういうこと?」
「旅に出てみたら、ってこと。一人で。」
「一人旅って…なんで?」
「それは旅に出てみればわかるわ。多分ね。…嫌なの?」
「い、いや、別に嫌って訳ではなく、何か急な話でびっくりしたって言うかなんていうか…」
「まあ、無理にとは言わないけど。時間あげるから考えてみなさい。答えは明日の朝聞くから。」
 みたいな感じで言うだけ言って姉ちゃん退場*1。突然の提案。リナ的にも郷里を離れる=姉ちゃんから離れるなんて思ってもみなかったんじゃないかな。最初は戸惑う。そして「なんで?」は絶対聞いたと思うんですよね。物事に理由・理屈を求めたがる人だから。けど、一人になって、旅を想像してみて…好奇心から「面白いかもしんない」と決心するのにさほど時間はかからなかったように思います。「姉ちゃんがそう言うならやってみてもいいかな」という思いもあったかな。翌朝一番に「行く」って回答ですね。両親もやはり姉ちゃんの提案なら、って特に反対とかはしなかったんじゃないかと。準備はとんとん拍子に進むことに。
 かくてリナは、世界を見る旅に出て…すぐに本領を発揮する。そりゃそうでしょう。旅立ちの村の人たちが一番強いんだからw旅に出る前にLv99になってる勢いwLv1の勇者は村から、いや家から出れない、それがゼフィーリアクオリティwと、冗談はさておき、旅の中で実力を遺憾なく発揮できたことで、自分の力に裏付けある自信を手に入れていくわけです。
 リナは旅に出た最初の頃はちょくちょく郷里に帰っていたのでしょう。作中では描かれていないけど、姉ちゃんに旅の話を聞かせたり、お土産にバスターソードを持ち帰ったり…というエピソードがあるようですし。もう、姉ちゃんに話を聞いて欲しくてウキウキしながらゼフィーリアに帰る様子が目に浮かぶわwでも、だんだんそのスパンは長くなっていったんじゃないかな。理由は…自分の力を信じて続ける旅が面白くなってきたから。そしていつしか昔ほど姉ちゃんに認められたいという思いは薄れていく。まあ完全にはなくならず、ふとスイッチ入るみたいだけど…。でも、リナの力は次第に「姉ちゃんに認めてもらうため」のものじゃなくなっていく、これは間違いない、かな。
 長編のエピソードに入ってからは、色々立て込んでいて、郷里に帰る機会はなかったようです。でも、一応4巻の最後には「この一件に関わる前は里帰りでもしようかと思っていた」と、いう記述があります。旅の中で文字通り世界を見てしまうリナ。そして15巻終了後、リナは実に約2年ぶり(少なくとも)に郷里に帰ることになります。
 久しぶりに里帰りをしたリナは、恒例どおり姉ちゃんに旅の話をすると思う。今回は長いし、辛い話もあるので時間がかかりそうだけど。
 旅の中で知った世界の秘密と人の心の光と闇。旅を乗り越えてきたから信じられる自分の力。でも、それは決して一人の力ではないことも分かっていて。そんなリナを見た姉ちゃんは――「強くなったわね。リナ」、と声をかけるのではないか――そう妄想しています。この言葉、今となってはもうそんなに重要ではなくなっているかもしれないけどね。
 このシーンもイメージ会話で妄想してみますw
 やはり夜、リナの自室を訪れる姉ちゃん。
「それで…『答え』はわかった?」
「え…?答えって何の?」
「私があなたに『世界を見て来い』って言った日のこと、覚えてる?」
「ああ、そういえば、あたし、あの時その理由を聞いて、「旅に出ればわかる」って言われたんだっけ。すっかり忘れてた。」
「…忘れた?」
「い、いや、だって、旅に出てからは毎日いろんなことがあって…いろんな人に会って…そんなこと考えてる時間なかったし…。(一呼吸置いて、しっかりとした口調で)でも、いうなれば、それが『答え』、なんでしょ?」(最後はいたずらっぽく笑みを浮かべながら)
「あなたがそう思うなら、ね。それで?これからどうするの?」
「うーん、もうしばらく旅は続けようと思ってるわ。まだあちこち見て回りたいし。」
「ガウリイさんと一緒に?」
「(視線を反らして、頬を掻きながら)…まあね。」
「(ふっ、と笑って)強くなったわね、リナ。」
「(呆気に取られて)え…ありがとう。」
「どうしたの?」
「うーん、姉ちゃんにそんなこと言われたの初めてで…嬉しいんだけど昔想像してたのと違うっていうか…」
「ま、そんなもんよ。」
「…かな(苦笑)」
(この先、ギャグっぽいオチまで考えてしまったけど…この辺で終わっておきますw)

 以上、結局考察というか単なる妄想でしたwBGMはraging waves→Revolution→Meat again→JUST BEGUN→Give a reason推奨です。書きながら私の脳内で流れていた曲たちです。
 とは言え、姉ちゃんはリナをクレアバイブルの伝承を知っているディルス王国のお偉いさんにリナを引き会わせているので、「魔族を倒させるため」説も信憑性あると思っていたり。
 この記事、簡単に書けるかなあ、と思って水曜日くらいから書き始めたのですが、どんどん妄想が膨らんできて、気が付いたら時間がかかってしまいました。まさか妄想会話までに発展するとは…wもっと練って初の小説にしてみようかとも思ったけど、会話は割と浮かびやすいけど、その間の地の文が埋まらないのよね。今後の課題にしたいと思います。

*1:姉ちゃんのキャラがわからんので、セリフはイメージですw気が付いたらリナが二人で会話してるようなイメージになってるなあ。