スレイヤーズEVOLUTION-R第8話ネタバレ感想

 後半戦へ向け加速するスレイヤーズEVOLUTION-R第8話、ネタバレ感想です。
 サブタイトルは「Uncover 暴かれる闇!」。良かったです。この回を「良かった」と一言で言ってしまうにはあまりに切ないのですが、色々と感じるものがありました。
 冒頭は原作どおり、ラドックがズーマを誘い出すために旅に出る、と言い出す展開。ラドックはその旅の途中でアベルにその過去を語ります。今作の見所の一つであった、原作では明かされなかったラドック=ズーマの過去。神坂先生の中では設定が出来上がっていたものの、展開上ズーマにそれを語らせることはしなかったという。多分今回語られた内容が神坂先生が考えていたズーマの過去でしょう。アレンジはあるかもしれませんが。「阿漕な先代」は原作でもその存在がほのめかされています。その内容はどす黒く、ラドックの胸に闇が生まれる原因になり得るもの。アベルには「仕方のないことだ」と納得したようなことを言うラドックですが、それは本心ではなかったようで。「諦め上手なふりして何を見ているの?」ここでFront breakingの歌詞を使うのは真逆かもしれませんが・・・ふとこの歌詞が思い浮かんだ。きっと表面では納得しようとしたんだろうな。あとは、これからランザード家の負の部分まで継がなければならないアベルには強く生きて欲しい、という愛情もあったのかもしれない。それが一つの感情。その一方で・・・内側に生まれた闇は増大していった。それが「ズーマ」を生み出した。
 リナを恨んでいた理由はあっさり目に語られた。これはちょっと拍子抜けだったけど、ラドックに生まれた闇はもう理屈では止められない状況まで来ていたんでしょうね。復讐の理由は焦点にはせず、「止められない闇」にスポットを当ててきましたか。彼は・・・「勝てなかった」のでしょう。
 そんな心の闇に蝕まれたズーマと対峙するリナ。止めに入るアベル。その結末は原作とは真逆のものになりました。ズーマはアベルに手をかけてしまう。ズーマとしての闇の心がラドックとしての親心に勝ってしまった。原作では最後の最後にアベルを思って敗れる、という形なんですよね。最終的にゼロスに無残に殺されてしまうという最期を含め、アニメ版は原作に比べ、救いはないものになっています。この変更は賛否両論あると思う。私は一つの形としてありだと思うし、色々と感じるものもあった。ズーマの中の闇の深さ。そして、それに直面し、ズーマの狂気に満ちた行動に怒りと戸惑いを覚えてながらも立ち向かい、最後には「どうして?どうしてよ?」と問いかけるリナの姿が良かった。テーマをはっきりとセリフに現してきたアニメ版スレイヤーズですが、今回はリナがあえて多くを語らず、と言う感じなのも良かったです。リナの何か思うところがある、といった風な表情から(壷を経由しますが)そのままエンディングに入ってしまうという流れもマッチしています。今回描かれたのはまさに「砂時計」の世界。「悲しみにくれる魂(こころ)を救えるものはなに」・・・その答えは示されません。でも、そんな現実を目の当たりにしながらも、「顔を上げて歩いていく」しかない。原作とは違う、もう一つのズーマの最期になったのではないかと。
 と、まずはズーマ絡みで感じたことのまとめ。その他、戦闘シーンも各キャラ派手に立ち回っていて、見ごたえがありました。ただ、デュグルドとグドゥザはゼルアメに倒させてあげて欲しかったなあ・・・。過去3話含め、善戦はしていて、その過程で見せ場もあったのですが、「決め」を取れなかったのは寂しい。この先にちゃんと見せ場あるかなあ・・・。まあ、個人的には「ゼルガディス先生に一生ついていきます」、と思える名シーンがあったので、そこは満足してますがwそれは後ほど。
 あとはスレイヤーズEVOLUTION-R全体を通したストーリーとの絡み。今回もズーマの闇を示しつつも徐々に前進。この辺りはちょっと複雑になってきたので、少しずつ考察していきます。
 前置き長くなりましたが、以下はストーリーを追いつつ。

 前回までのあらすじ!はなくて、いきなり本編へ。キー回であることを感じさせます。
 「商品の買い付けに行く」と言い出すラドックに反対するアベル。ゼルも危険性を指摘し、契約を盾にするラドックにポコタは反論しようとするけど、リナはそれを手で制してクールに「わかりました」。かっこいいわw冒頭から痺れたわ。と言うわけで、一行は護衛としてラドックとともに旅に出ることに。
 別室に移って打ち合わせ。リナは「わざと狙われやすい状況を作ってのおびき出し」、というラドックの狙いを読みながらも敢えて策に乗った。原作通りの展開!ここも痺れますよ。
 リナが先に倒されたら護衛がいなくなってしまうのでは?という危惧に、「あたしがズーマにやられたりしたらどうする?」と逆に問いかけるわけですが・・・原作通りの流れながらパワーアップしとったwこの辺は高山節だなあ。ガウリイの迷言、「どうするって・・・まずは葬式だよなあ」が聞けてよかったわwアメリアの発言はさらに人情ないものになってるwゼルも原作ではこの場にいなかったけど・・・悪霊扱いかwなんか原作でヴルムグンの遺体を灰にして壷に分けて川に流したエピソード思い出したわ。「人情ってものがないわね、あんたたちは!」と言うツッコミ栄えますw「仇を討とうとは思わないの?」と続けるけど・・・やっぱりノリが悪い一同。仕方ないのでそのまま自説を披露するリナ。「敵討ちをするためには次に狙われるラドックの傍にいて、ズーマを待ち受けるしかない」と。ラドックの思惑推理が終わったところでシーンチェンジ。
 オゼルが用意する馬車で出発。リナはラドックの護衛という名目で豪華馬車に乗り込もうとする。ガウリイたちはおんぼろ馬車。得意げなリナだけど「嫌味を言われるのがオチ」というゼルの言葉に後悔。って、ターゲット二人だけ別馬車って危なくないか・・・?と思ったらラドックの要望だったっぽい。・・・二人っきりのところを狙う気満々じゃないか!そこにアベルが現れて、自分も一緒に行く、と言い出す。最初は渋るも結構あっさり折れるラドック。と言うことで、アベルは豪華馬車に。ズーマの目論見崩れる。アベルには先手を打たれてばかりですね。アベルは父がズーマであることにうすうす感づいてますから、反発するふり、嫌味を言うふりをしながらけん制してきているのでしょう。
 豪華馬車には嫌味役が増えたけど、「こっちはお気楽〜」とのんびりモードのポコタを絡めとるのはリナの放った鞭w強引に巻き込むつもりらしいw小さい体が仇になったねwと、ここでサブタイトル〜。珍しく遅いです。
 馬車で旅行く一行。のどかな感じ。豪華馬車の御者はオゼル。・・・留守番いないwボロ馬車はガウリイが御者。ガウリイ君、以外に芸達者だなw変な鼻歌を歌うガウリイにゼルが「そういう歌を歌うな!」とツッコミ。鼻歌、よく聞いてるとドナドナじゃないかw♪売られていくよ〜。うまいなあ。馬車が走るシーンは少し長い気もするけど・・・遠くまで来たことをあらわすためだろうか?アメリア、馬車で寝ちゃってますよwのどかすぎるw一方、豪華馬車はラドック・アベルの重苦しい会話が続く・・・その重い空気に当てられるリナとポコタw
 時は夕方。馬車は何もない野原で休憩。完全に「襲ってくれ作戦」丸出しですなwリナもそれは承知の上、乗っかります。
 景色を見ながらラドックとアベル、親子の会話。なぜ狙われているのか?と言う問いに「手広く商売をしていれば、あらぬところから恨まれることもある」とラドック。ここでアベルが「母さんが死んだのも、それが原因なの?」と確信に迫る質問を切り出す。どうやら母の死の理由は知らなかったらしい。先週「そうやってまた大事なものをなくしても知らないから!」と言い捨ててましてが、この大事なもの=母親でしょうね。ラドックから詳しく聞かされていなかったけど、あれこれ噂話などは耳にしているでしょうし、売り言葉に買い言葉でついよく知りもせずに口に出てしまったのか?
 ラドックは静かにアベルの母親が死んだときの話を語り始める。まだ先代・・・ラドックの父が当主だった頃。先代は「阿漕」と言われ、後ろ暗いこともしていたため、方々に恨みやねたみを買っていた。そこで目をつけられたのが若き日のラドックとその妻。先代に送りつけられた脅迫状には血染めのペンダント(二人の肖像画入り)が。若ラドックはアベルにそっくりですね。商談の途中で盗賊に襲われ、気が付いたら牢に囚われていた。目の前には傷を負い、息も絶え絶えな妻。でも、足に枷をはめられていて、近づくことが出来ない。血の涙を流すラドック。結局妻は傷が元で亡くなってしまい・・・ラドックはで牢に囚われたまま、白骨化していく妻の遺体を眺め続ける。なかなか開放されなかったのは・・・先代が身代金を払わなかったから。彼らを誘拐した盗賊は「恨むなら自分の家を恨め」と言ったそうで、先代に恨みを持つ何者かが盗賊を雇って仕組んだことだったようだ。
 うわ・・・どす黒いな・・・。先代が出てくるとは予想外!でも、頭のほうにも書きましたが、「人情がない先代」がいたこと、そして「奥さんが亡くなってから男手一つでアベルを育てた」ことは原作でも出てきてるんですね。先代放置しすぎだろ・・・よほど血も涙もないのか、弱みを見せれば付け込まれると思ったのか・・・。ここでラドックの中に闇が生まれてしまった。ラドックまだ若いし、アベルが事件のことをよく知らないことを考えると、アベルがまだ幼い頃、でしょうね。すると10年以上は昔かな?ラドックの中の闇は少しずつ、時間をかけて熟成されていったのだろうか?始めの頃はまだ幼いアベルを育てなきゃ、という思いもあったでしょうし。ヴェゼンディでラドックの評判がいいのは、先代との比較と同情によるものなのかも知れない。
 話を聞いたアベルは怒り出す。「家のせいで母さんが殺されても平気なのか」、と。ラドックは「他にどうすることができる?」と静かに言う。盗賊を捕らえ、その裏にいる奴らを捕まえることなど雲を掴むような話だ、と。「商売をやっていればそういうこともある。この家を継ぐつもりなら・・・」と冷めた調子で続けるラドックにアベルは噛み付く・・・「誰が継ぐもんか、母さんが殺されたことまで忘れて、それでも守らなきゃいかない家なのか」と。その言葉に思わず平手打ち。「何もわからぬくせに」「ああ、わかるもんか」と親子喧嘩にありがちなセリフで締めて・・・アベルは走り去る。うーん、深いなあ。ラドックは現実を受け入れたように振舞っていますが、実際は逆で、妻の死と父の非情な仕打ちを受け入れきれず、心に闇を抱いている。多分、ラドックが言う理屈は先代から言われたものなんじゃないかな?商売のためなら「諦めろ」と。ラドックはそのときアベルと同じような反応をしたんじゃないかな?自分が重なって見えてつい殴っちゃったのかも。恐らく、商人ラドック=ランザードとしては父の言う理屈も、過酷な現実も受け入れた。でも、それらを受け入れ切れない本心の部分が「ズーマ」として熟成されていったのかな、と。
 と、そんな二人の会話を意図せず耳にしてしまったリナとポコタ。ポコタは「あれじゃああいつが怒るのも無理はない。敵討ちっていうのがいい事じゃないのはわかるけど、それじゃあ、やりきれないことが多いからな」とアベルの肩を持つ。リナは「でも、そんなことをしたって、誰も救われるわけじゃない・・・多分」と続ける。「多分」がいいな。それこそ「正解なんてありはしない」。
 ラドックはさらに語る。「もう仇を討つことも叶わない、なぜなら妻を殺した盗賊たちは数年前、サイラーグでの戦いに巻き込まれて死んでしまっている」、と。はっ、とするリナの表情が良い。色々思うところはありそうだけど、ここでも多くは語らないリナ。もちろん、言うまでもなく、リナはサイラーグの戦いの当事者。ズーマがリナを恨んでいる理由がずいぶんあっさりと語られた。敵討ちが叶わなくなったから、ですね。逆恨み、というか言いがかりなわけですが・・・でも、ここまで来るのに相当恨みは熟成されていると思う。多分だけど、父親も、盗賊雇ってた奴も、殺しちゃってるんじゃないかと。それでも満たされなくて、敵討ちを邪魔したリナへ憎しみが飛び火しちゃったんですね。復讐は連鎖する・・・ルークを思い出します。今までの連中とは格の違うリナを殺す腕を磨くための練習台として暗殺者家業を始めた・・・これがズーマ誕生の裏側か。ズーマは「暗殺者の中の暗殺者」として名前が知られていたようですが・・・数年でそこまで名前が売れた背景を考えるに、ズーマの暗殺者としてもっとも脅威的だった部分は仕事量とそれをこなすスピードだったんじゃないかと。当然、腕がなきゃ出来ないことなんですが。
 ラドックは更に語る。「それに私は忘れたわけではない。いや、忘れられると思うか。愛するものが死んでいくさまを見せ付けられたことを」・・・その声には怒気が篭り・・・ズーマっぽい喋り方になっています。思わず「ラドックさん・・・」と心配そうな声をかけるリナ。と、そこに・・・敵襲の気配を感じ取るポコタとちょっと遅れてリナ。周囲を警戒していたガウリイ達も異変に気が付いた!レッサーデーモンの団体さんが走ってキター。このデザインはやっぱ馴染みにくいなあ・・・。と、ここでAパート終了。
 アイキャッチは新作2枚。若き日のラドックと奥さんの2ショット。過去を聞いた後だと笑顔が切なげに見える。
 2枚目はアメリアVSグドゥザ。また触手かwちょいエロいです。
 と一度切ります。今日は本気で長いので、後半は明日以降に。