新装版スレイヤーズ 12 覇軍の策動 ネタバレ感想

 うかうかしてたら来週には次が出てしまう!ってことで第2部再感想シリーズ。今回はあまり長くはならない予定。

 クリムゾンのインターバルを挟み、再びルークとミリーナが登場。新たになにやら画策を始めたシェーラと決着を着けるという流れの今回。次の13巻と前後編のような関係になっていて、次に向けた伏線がちらほら出てきている。まずは「白い巨人」。これは新キャラメンフィスの仮の姿でありながら、1部に登場したザナッファーの完全制御版でもある。散りばめたパーツを拾いつつ、新キャラに繋げる流れは毎度ながらお見事です。あとはジェイドとシャーマン。ジェイドの未来の姿が暗示されていたとは・・・。最大級の伏線はシェーラの笑みですね。最終巻でようやく回収されるその意味。シェーラが魔王の欠片を見つけることができたのは、完全に偶然の産物なんだけど、人まね大好きな覇王さん一家としては大金星かな。
 さて、いきなりだけど細かいけど好きなシーンシリーズ〜。その1、リナとミリーナが二人だけで会話するシーン。リナ本人も言っている通り、この組み合わせで会話する状況は珍しい。さらに珍しくミリーナが自分自身について語る。「私は不器用ですから」・・・この一言にミリーナのルークへの想いが集約されている。ルークが積極的にミリーナにアプローチするのに対して、ミリーナはひたすら冷たい態度。リナじゃなくても「何でルークと一緒に旅してるの?」って聞きたくなる。でも、その理由はとても簡単なものだった、と。感情が表に出ないタイプなのね。しかし、ガウリイを「まるっきりヒモよね」と評してしまうリナも方向性は違えどまた不器用なんだな、と思ってしまう。実は似たもの同士なんだね。技巧派の戦闘スタイルもまたしかり。ミリーナの戦闘の旨さはリナも感心するほどなんだけど、その意図を理解できるリナもまた技巧派なわけで。そういえば、「同じことを考えていた」というようなシーンも何度か出てくる。性格の面ではまるっきり違う二人だけど、お互いどこか近いものを感じていたのかも知れない。
 その2。その1のシーンからの続きだけど、魔族の結界が消え、ミリーナに抱きつくルーク、その後に現れたガウリイのセリフに対するリナの反応。「やっぱり無事だったか」に対し「いちおーもうちょっと心配しろよ」と心の中でつっこむわけですが・・・1巻では「大丈夫か大丈夫かをやられるのが嫌だからのほほーんとしてたのに」というセリフがあったりするwいやー、すばらしい心境の変化ですねえ。表面的なところはあまり変わらないけど、着々と進展してますよ。この「リナ本人は自分の本心に気づいてるんだか気づいてないんだか」っていうニュアンスが絶妙だなあ。