ファイヤー・ボールとディグボルト

 スレイヤーズREVOLUTION8話の話をします。DVD派の方は以下、ネタバレにご注意を。


 題記の呪文は8話のVSゼロス戦で使用され、私にかなり強烈な精神攻撃を食らわしてくれた呪文だったりするんですが…、今日超スレイヤーズ祭を録画した無印7話を見ていたら衝撃の事実に気がついた。この話でリナが魔族ゾロムに対してこの2つの呪文を使っていたのです!
 詳しく説明する。初弾のファイヤー・ボール。これは的中させるも効果がなく、リナはここで初めてゾロムが魔族であることに気づきます。その後にゾロムを魔族と認識した上でディグボルトを撃っています。
 で、ふと原作を見返してみたら…順番は逆だったけど、同じくゾロム相手にやっぱりファイヤー・ボールとディグボルトを使っていたよ!両方とも完全に魔族と認識した上で。ちなみに、このシーンは今年5月に刊行された新装版では「リナがゾロムを魔族と気がついていなかった」という風に修正されています。
 そもそもスレイヤーズの1巻というのは、作者の神坂先生が、「ファンタジア長編小説大賞」に応募するために書いた作品で、書いた当時は単発のお話のつもりだった、というのは有名な話。なので、その後シリーズ化に当たって再構成された設定と矛盾があったりする。例えば、「魔族には地水火風の精霊魔法は効果がない」という設定は、今やスレイヤーズの魔法の常識になっていますが、修正前の原作のゾロム戦においては、リナが自信満々に精霊魔法であるファイヤー・ボールとディグボルトをゾロムにお見舞いしちゃっている。でも、やはり効果はなく、この設定自体は当初からあったものの「リナがこの常識を知らなかった」という点が矛盾になっちゃってる。このシーンは、作者的にも気になっていたようで、この度20年越しの修正となりました。
 レボ8話の話に戻る。ファイヤー・ボールとディグボルトのセットがレボ8話でも魔族であるゼロス相手に使われてしまいました。あの戦闘はリナ的には本気ではなかったようなのでファイヤー・ボールは宣戦布告兼目くらまし的な意味でありだと思うんです。その後にゼルがディグボルトを使った意味がよく分からなかったのですが…、無印見返して、原作を読み返してなんか分かった気がする。つまり…レボ8話はこのゾロム戦を元に脚本が書かれたのでは?と。過去に魔族相手に使われていたことで、魔族にも効果がある、アルトラル系精霊魔法と勘違いされたのではないかと。作中で使われちゃった前例がある以上は、そこを「今の設定と違う」と言うところまで気づけ、と言うのはレボの製作体制を考えると酷かも知れない。今回、脚本担当者間のキャラクター観や細かい設定のすりあわせがうまくいっていませんでしたから。考え過ぎかも知れないけど、この2つがセットで出てきた辺りがどうも引っかかるのよね。ミスが起きた事は残念なのは変わりないんですが、何でこんなミスが起きたのか、は納得できた気がする。