コミック版スレイヤーズREVOLUTION 第6話ネタバレ感想

 そういや先月分は感想書いてませんでした。スキップして6話いきます。「振り下ろされる刃」ということで最終回です。ネタバレですが、アニメ版を最終回まで見た人なら見てもOKだと思います。ちょっとアニメ版の方に絡めた話もしています。基本的にREVOLUTIONの最終回までのストーリー準拠だけど、コミック版独自のアレンジもあるので、そこを楽しみたい人はスルーで。コミックスは12月9日発売。

 コミック版は基本的にアニメの脚本を元に書かれているようなのですが、今回は大きくアレンジが加えられていました。といってもストーリー展開は変わらないんですが。でも、驚いた。なんとデュクリスの過去シーンが追加されています。デュクリスには子供を身ごもった妻がいた。平和に暮らしていた彼らを襲ったデュラム病の流行。病気の描写も体に斑点が出来るなど、アニメ版より少し生々しくなっています。あまりの惨状に顔をしかめるデュクリス。支援物資は届かず。デュクリスの妻もデュラム病に侵され、流産の後絶命します。こんな運命を前に怒りに震えるデュクリス。…なぜこの手のシーンをアニメでも入れなかったんだろうか…。結局のところ、逆恨みなのは変わらないけど、悲劇の人というイメージが生まれ、デュクリスに同情できる要素が生まれます。さすがに病気の生々しい描写はアニメでは無理でしょうが「大切な人の死」により絶望し、狂ってしまった、というのは非常に分かりやすい展開です。描かなかった理由として考えられるのは、こういう風に描いてしまうとルークと丸かぶりになってしまうことですね。2部をやる可能性を考慮した上で、デュクリスの過去描写を避けた…だったら仕方ないとも思えるかも。デュクリスは難解なままだけど。原作はその先にストーリーが存在しているけど、そこには踏み込めないというアニメ版の抱える難しさを感じる。だったら復讐というテーマ自体にも踏み込まない方が良かった、とも思えるのですが。でも、コミック版製作に当たってデュクリスの悲劇描写を追加したアレンジは良かったと思います。
 デュクリス変更点はもう1点。最終形態がケンタウロスではなく、完全に四足獣形態。なれの果ての姿としては、こっちの方が良かったな、と思う。
 コミック版は駆け足でストーリーを追っている関係で説明不足になってしまっているシーンも多く、そういう意味ではアニメのダイジェスト版の域を出ないんですが、細かい描写では、アニメよりこっちの方がいい、って思えるシーンもあるんですよね。例えば1話でちゃんとガウリイの活躍シーンがあったりとか。
 最終回の「裁き」を行えなかったポコタのシーンの後にリナが語る台詞もコミック版の演出の方がいい。台詞は「人間なんてみんな不完全で 間違いだらけな生き物なんだから」だけで、アニメ版であった「だからこそ 正しい道を目指して頑張らないと」はカット。どこか遠くを見ながら言うような演出になっている。
 この台詞はアニメで聞いたときには最初は違和感あったけど、よくよく考えたら「ああ、スレイヤーズの、リナの考え方の根底にあるものだな」と思い直して、実は気に入っている台詞だったんです。スレイヤーズテーマ論の時にも書いたけど、スレイヤーズの根底には「人は弱いもの」っていう認識がある。そしてリナは「人間」という存在に対してどっちかというと、「性悪説」の考え方の持ち主だったりする。原作ベースで行くと、「善人なんて生き物はいない」なんて言ってみたり、瘴気を吸収して生きるフラグーンが枯れない理由について「枯れないでしょう。ここに人が住んでいる限り」と言ってみたり。それでも、その事実を認識した上で、よりよい明日を目指して頑張っている人については認めているし、人間にはそうできる力があることもわかっている。例えば門番その一ことマイアス君とか。リナ自身もそうありたいと思っているんじゃないかなあ。…基本は自由人で強い人だから、普段は意識なんてしないんだろうけど。
 「正しい道」っていう言い方があまりにストレート過ぎたので最初は違和感あったんだと思う。アニメは分かりやすく、そしてメッセージ性を持たせるためにもストレートな言い方になっちゃうのかな、と思った。でも、言いたいことはわかった。コミック版の方はその部分を暈かしているので、ちょっとクールな印象になっています。
 さて、どうやら新シリーズも先行コミック化するらしい。うーん、コミック版は実はコミック版という名のネタバレなんですよね…。アニメを純粋に楽しむなら絶対見ない方がいい。でも先は気になるわけで…というジレンマと闘う日々が来そう。