フルメタル・パニック せまるニック・オブ・タイプ(ネタバレ感想)

 今日はネタバレバージョンで。
 426ページと言う大ボリュームながら一気に読んでしまいました。時間にして3時間くらいかかったと思います。その間トイレ休憩以外本に釘付け。怒涛の展開にがっつり引き寄せられた。
 今更ですが・・・ファンタジア文庫なだけあって、フルメタってファンタジーだったんだな、と思ってしまった。いや、悪い意味でじゃないですよ。私ファンタジー好きですし。現代風のSF世界にうまい具合にファンタジー的なフォーマットを落とし込んでるな、と思った。
 今回の物語の核心とも言えるウィスパード誕生秘話・・・色々理屈がかかれてましたが、理屈はようわからんwでも、とりあえずなにやら精神世界に干渉してこの世ならざる力を得る術について、怪しげな実験で研究してたら暴走しちゃって一部の人間が特殊能力に目覚めちゃいましたよ、って感じ?はしょりすぎだけど。ウィスパード能力は要するに理屈はどうあれ、魔法みたいなもんだと考えることにした。で、未来の人間から送られてくる情報をキャッチできるそうだ。
 宗介はウィスパードと今まで深く関わることが多く、彼女達を救うことが出来る存在なのかも?という話が出てきた。宗介=勇者か。敵役であるレナードの目的は「世界をウィスパードのもたらした情報がない『本来ありえた世界』に戻す」ことだった。方法などの詳細は次巻に持ち越されましたが・・・歴史を変える(正確には元に戻す)・・・どうやるんだろう。タイムマシンでも作るんだろうか。この目的にも何となくファンタジーっぽさを感じたんですよね。急に話が大きくなったぞ、と。
 そんな目的が分かった後、宗介はかなめに再会する。でも、彼女はウィスパード誕生の元となった被験者・・・不思議な力の源・・・いわば神?のような存在に同調してしまい、「世界を変えるべく」宗介の元を去り、レナードの元へ。せっかく出会えた後に敵側に回ってしまうヒロイン・・・なんと王道展開。熱いぜ。次巻が最後とのことですが、割と王道的に収束していく気がする。むしろそうなって欲しいなあ。ひねり入れるとバットエンドになりそうだしなあ・・・。それも切ないよ。
 切ないと言えばクルツ!!逝ってしまわれた・・・。まさか彼が途中退場してしまうとは。でも、今回のラストを踏まえて読むと、序盤から死亡フラグ立ちまくりだったんですよね。その伏線の張り方が本当にうまい。最初の砂漠での戦闘で、クルツの師匠カスパーが敵として登場する→マオと寝るシーン→敵側にカスパーがいることがわかり、彼の伝説的射撃の腕のエピソードが語られる→クルツVSカスパー直接対決。一度は読みを外し瀕死に→カスパーの射撃記録を破って勝利→でも死亡・・・。この一連の流れがあまりにスムーズ且つうまくて、かわいそうだけどクルツ死んでしまった悲しさ・惜しさより、恐れ入りました、みたいな気分になってしまった。最初読んだときは気がつかず、読んでいくうちに「あ、これ伏線か」と気がつくのって伏線のお手本のような展開だと思う。・・・まあ、私が単に気がつかなかっただけなのかも知れんけど。最後、宗介がカスパーをASの外におびき出す段取りは、流れがちょっと不自然だったけど・・・クルツの最後の一撃、熱かったからいいや。
 さて、残り1巻。なるべく早めにお願いしますw