蹂躙者たちの街[後編]ネタバレ感想

遅ればせながら蹂躙者たちの街ネタバレ感想。
 後編も黒いぞ。人死にまくり・・・。前回ラストで那美を助けたのは名もなき会社員さん、彼も死亡。ブルート達は那美目当てに病院強襲、看護婦さんも死亡、警官も死亡・・・。巻き込んだ人多いなあ。
 救いがない話なのに真っ暗な雰囲気にならないのは、那美の持つ独特の強さゆえでしょうか?彼女の戦闘シーンに見られる「対峙しているブルートでも、実際には内面の恐怖との戦い」といった感じの心理描写がとてもいい。那美は肉体的にも精神的にも絶対的に強いわけじゃないんですよね。それでも戦おうとする意志の輝きが彼女の魅力だと思う。ただし・・・そのベクトルは「復讐」、というミスマッチもまた良い。
 さて、終盤「那美はブルートの女」なのでは?という衝撃の事実が突きつけられました。これは・・・カンテオルの想像、という形を取っているとは言え、ちょっと説明不足かなあ。ブルートに犯された女は、子供を産まざるを得ない状態にされる、みたいなことが前編にあったのに、今回は「ブルートと交われば堕ろすだろう」と書かれてる。どういう経緯を経て人間型ブルートの那美が生まれたのか、やはり詳しい説明が欲しい所です。これは続編書いてもらうしかないな。ブルート自体がそもそも何者なのか、という謎も残っていますし・・・。
 ラストはまだまだ続けそうな終わり方で終わったので、これは期待してもいいんだろうか?シリーズ化は無理でも文庫1冊分で完全版、みたいな感じで続きを書いて欲しいです。