鋼の錬金術師アニメ版を語る。

今回は鋼の錬金術師アニメ版を語ってしまいます。

4月から再放送も決定したようですね。
野球延長が気になる時間帯ですが(^^;)
http://www.sonymusic.co.jp/Animation/hagaren/onair/top.html

さて、このアニメ版は原作を大胆にアレンジした構成になっています。
このアレンジ、賛否両論あると思いますが、私としては
1年間という決められた枠内にきちっとまとまっている良作だと思います。
まあつっこみたい所も多々あるんだけど・・・。

私はリアルタイムではロクに見ておらず、ビデオで一気身したわけですが、
特にお気に入りなのは1クール目。
個々のシーンがいいというより、その構成がGJなのですよ。
有名作品なのでご存知の方が多いと思いますが、私なりの視点で展開をざざっとレビュー。
あ、一応もろネタバレです。


まず1、2話は現在の15歳エドと14歳アルのほぼ原作通りの活躍。
で、3話からがいきなり回想シーン突入。
原作の方では2人の過去はだいぶ後になってから明かされているので驚かされました。
この後9話までが回想で主に12歳のエドが主人公で展開します。
が…この過去編、とにかくどん底なエルリック兄弟が描かれるのです。

3話

母親の死、人体練成失敗、手足と弟の身体を失うという悲劇の中、
兄弟は、身体を取り戻すという希望と決意を胸に国家錬金術師を目指し旅立つ。
【4,5話は飛ばし】

6話

セントラルに出た兄弟は国家錬金術師であるタッカーの家に下宿して
試験に向けて必死に勉強するが、その姿はどこか何かにすがるような切なさが漂う。
そんな努力のかいあり、エドは国家錬金術師試験に合格
(エドと共にがんばってきたアルは正体がばれてしまうため、受験を断念。この辺もまた切ない・・・)。

7話

合格の喜びもつかの間、タッカーの娘ニーナが父親の手により合成獣にされた上に何者かに殺害される。
エドは無力感に打ちひしがれる。

8話

エドはせめてニーナ殺害の犯人を捜そうと、巷で噂の連続殺人犯バリーを追うが、
逆に追い詰められ、死の恐怖を体験する羽目になる。
間一髪で勝利するも、自分は弱い、小さな存在であり誰かのために何か出来るなんて
思い上がりだったことを痛感させられる。
ならばせめて、自分に出来ること・・・自分達の身体を取り戻すという目的を成し遂げようと決意。
正式に国家錬金術師の資格と「鋼の錬金術師」の銘を受ける。

「いいね・・・そのおもっ苦しい感じ・・・背負ってやろうじゃねえの」

・・・原作にもあるセリフですが、原作では皮肉な銘へ自信たっぷりに答えているのに対し、
アニメ版ではちょっと戸惑いながらも、決意を込めて自分を奮い立たせるように言っているように感じます。
この変更も好きですね。プレエドの弱さを徹底的に書き込んだアニメ版ならではの変更だと思います。

んで、ここまでが第8話。散々欝展開をやらかしてます。
9話で転機が訪れます・・・

9話

国家錬金術師として賢者の石を探求することを決意したエドだが、
まだ気持ちの整理がつかないのか覇気のない様子。
そんなエドに初の任務として、悪徳軍人、
ヨキの圧制に苦しむユースウェル炭鉱の調査が命じられる。
エドは街の人々に「軍の狗」と蔑まれながらも、街の人々の鉱山に対する思いに応え、
ヨキから鉱山の権利書を奪い取る。
平和が戻った街は歓喜に沸くことに・・・。

「オレは(軍に)魂まで売った覚えはないね」

何故軍に逆らうのか、という問いに対するエドのセリフ。
軍の狗にはなったけど、自分の行動は自分の意思で決める、
というこの決意によってエドは吹っ切れたんじゃないかと思います。
気の遠くなるような先の見えない目標、そして思い知らされた弱い自分・・・
だけど、自分の信念だけはまだ失ってはいない、無くしたくない・・・
そんな思いがあったんじゃないかと勝手に思っています。
久しぶりに生き生きとした表情になってます。

ここからエンディングへの展開がめっさ好きなのですよ。

ホークアイ中尉がマスタング大佐にエドの活躍を報告。
【このあたりからエンディングイントロスタート】
そして3年後・・・現在(15歳エドと14歳アル)に戻る。
15歳エドの表情は過去編の時とは違い、自信に満ちた様子で、彼の成長が見てとれる・・・
エンディング突入!
「♪迷わずにこの愛を信じて生きてゆく〜今でもこの胸の奥消せない罪は痛むけど」
初代ED「消せない罪」の歌詞ですが、ぐっと響きましたね。
「この愛」を「この道」くらいに置き換えれば、この歌詞は過去編のエドの心情の総括でしょう。


・・・まあ、この先も彼は迷いながらも進んでいく形になるんですが、
それはまた別の話、ということで・・・。


回想的を8話で国家錬金術師になるくだりで終わらせず、
立ち直るきっかけを描いた9話目まで回想にしたのがよかったと思います。
8話で終わったら9話ラストのエドの表情にはつながらなかったでしょう。

やはり、どん底にたたされたキャラが、次第に立ち直っていくシーンは
どこか爽快さがありますね。
ガラスの仮面のマヤが泥饅頭食べるシーンみたいな・・・(この例えはちとアレだが・・・。)

うお無茶苦茶長文になっとるorz。
熱く語りすぎました・・・最後までお付き合いありがとうでした。

引用セリフはTVアニメ 鋼の錬金術師シナリオブック (1)より