読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

神坂一先生新作「メックタイタンガジェット巨甲闘士グランアース」ネタバレ感想

 発売から1か月ほどになりますが…グランアース面白かった!Twitterの方に以下のような感想をつぶやいてみてました。

 神坂先生の新作「メックタイタンガジェット 巨甲闘士グランアース」かなりツボった!読み口がスレイヤーズっぽいというか感覚的に近いなと思った。
 裏テーマは「ロボット博士によるセクハラ」とのことで、主人公の女子高生がロボットに乗る理由が「博士がセクハラしたいからご指名」というしょーもない理由です。博士のセクハラは「劇薬」ではあるけれども、主人公のシアの返しのテンポがいいこともあってついつい笑ってしまう。
 そんなギャグを挟みつつ、世界の命運をかけて戦うことになってしまったシアとそれを支える人々が見せるさりげないポジティブさには心打たれます。ジャンルはロボットものですが、ロボット好きじゃない人も楽しめる作品なんじゃないかと思います。
 もちろん、ロボットの設定周りも神坂先生らしくロボットもののお約束を理詰めでカバーするなど、屁理屈のようで説得力のある仕上がりで、ロボ好きならより楽しめるのでは?と思える1作です。
 ロボやキャラクターも1作で終わらせてしまうには勿体ない設定…機会があればぜひ2作目も…そしてシリーズ化も激しく希望!
 最初にスレイヤーズっぽいって書いたけど、正確にはすぺしゃるっぽい印象なのです。世界観をロボットものに変えたすぺしゃる。セクハラ好き博士は魔道士に置き換えればスレすぺに出てきてもおかしくないと思うのです。でも、世界観を変えたからこの作品が出来た。
 すぺしゃる改めすまっしゅが連載終了しまったのは残念だけど、ある意味終了によって生まれたのがこのグランアースなのかなー、なんて思ったら、この「一区切り」を受け入れられたような気がしています。スレイヤーズの次の作品なのかな、と。そう思えるくらい面白かったです。

 ひとことで言うと、「面白いんでおすすめ!」「一緒に続編待とうぜ!」って感じなのですが(二言)…具体的なところをネタバレありで書いてみようかな、と思います。


■ロボット博士のセクハラ

 まさにこれこそ本作の核!先日秋葉原で行われた神坂先生と秋田先生のトーク会でも「セクハラが裏テーマ」というお話がありました。神坂先生が昔マジンガーZとかを見ながら「パイロットスーツとかこれってセクハラだよなー」「そもそもなんで女子高生がロボットに乗ってるんだろう」と思ったのがきっかけだとか。そこからまれた「セクハラ博士と標的になってしまった女子高生パイロット」…発想がとっても神坂先生だwこれで疑問点解決ですねw
 実際に読んでみて…この掛け合いがほんと面白い。セクハラ容赦ないwようじょのパンツかぶるとか正直ちょっと引いたけどそれくらい毒がないとw それに繰り返されるシアの「通報」ですよ。あの手この手のセクハラに怯まず通報。これがテンポ良くて笑っちゃう。博士はむしろ通報されるの楽しんでますよねwこの「セクハラ」「通報」のやり取りによって二人のキャラクターがしっかり立っているように感じます。また、「セクハラはしてくるけど博士としての能力は間違いない」というシアと博士の信頼関係もまた面白い。
 ロボットなのに必殺技の名前を叫ぶお約束もセクハラの一環でした。「音声入力」と聞いて思い出すのが、神坂先生の別作品、シェリフスターズのラジオドラマ版です。これも昔トークショーがあったので見に行きました。その時は神坂先生と脚本を担当したとまとあきさんの対談形式でした。シェリフスターズも宇宙戦艦(小型ですが)が「ワイバーンブレス」とか必殺技的なもの使うんですよ。原作だと地の文で説明するだけなのですが…ラジオドラマ版では音声入力という設定に変更されていて、レティシアが叫びますw
とまとあきさん「原作だと黙々とパネル操作しているだけなので、音声入力にさせて頂きました」
神坂先生「グッドです(笑顔)」
 このやり取りが印象に残ってます。シェリフはメカ開発者が無駄に変形機能とか付けちゃう趣味人という設定なので、こちらもすごくはまっていました。シェリフスターズラジオドラマ今でもアマゾンで試聴できますね
 10年の時を経て…音声入力が神坂作品に帰ってきた…!特に終盤の絶叫シア△!ヨーグルトのやつも2段構えで笑ってたら最後活用されてるしww
 「セクハラが裏テーマ」とはよく言ったもので、この設定により本作の個性が際立っていると思うのです。で…ふと振り返ってみると、スレイヤーズも結構セクハラだよなー、と思う。特に初期は普通にそういうネタ多かったし…すぺしゃるだと後期でも割とさらっとある。祭の石像を美女にして白濁液とか。今や鉄板となったリナのちっぱいネタもセクハラだよね、改めて考えると。

■さりげないポジティブさ

 初めてグランアースに乗ったシアは叫ぶ。「それだけしか、今の自分にできることはないのだから」…カッコイイ!シアは一応「普通の女子高生」にカテゴライズされていいキャラクターです。権力者の家の一人娘で護身術等の心得はある…というバックボーンはありますが…この芯の強さは神坂キャラクターだなあ、と思う。
 とは言え、やはり普通の女子高生。不安に思うこともある。彼女をサポートする周りの人たちがまた良い。出番は少ないけれども保険医の街殿先生の一言が胸に響く…いきなりロボットに乗るような…想像もしなかったような状況に置かれた時、大事なのは「自分でちゃんと考えることだ」と。
 スレイヤーズを始めとする神坂先生の作品に表現される「合理的ポジティブさ」のようなものすごく心に響きます。何かを成し遂げようとする時「何が何でもあきらめない!」というようないわゆる精神論としてのポジティブさも大切だし、お話の中だと胸熱展開。でも、時々疲れてしまうときもある。そんな時に、「その方が合理的だから」とさらっと語られるポジティブさというのになんだか癒される。
 高杉さんの「途中で飛行経路を変えることもできる。だから今は向かってみよう」とかもいいなあ。

■ロボットものとしての面白さ

 ロボットの設定もまた、神坂先生らしくて…「スーパーロボット系のロボットはなぜ剣とか近接武器を使うのか?」というお約束のところに理由付けをしている。それが「フレキシブルガーダー」。遠距離からのスピードのある攻撃…ミサイルとかは全て弾かれるので、近接して戦うしかないよ、という理屈。それゆえグランアースは剣を持ち、近距離戦闘を挑むしかない。でも、さらにその設定を逆手に取り…じゃあ近づいて攻撃できればロボットじゃなくてもOK、ってことで足元から近づいて奇襲攻撃する自衛隊の方々もかっこよかったです。
 脱出装置もスーパーロボットだとお約束ですよね。何度でも脱出出来るから、敵さんの中の人は同じ。ナザンサイドからの描写も好きです。シリーズ続いたら負け続ける先に何を見るのかとかも気になる。
 そしてこちらも発想逆転。外に脱出できるなら、逆に補給もできるよね!ってところがまたなんとも面白い。なるほど…って思った。終盤はこのシステムのおかげもありグランアース無双状態で、もうちょいピンチもあった方が燃えるかも?と思ったけど、そこはスーパーロボットもの。無双あってのものかなあ、と…序盤戦だし。女子高生のシアの操縦で戦えるのは、圧倒的な機体の性能があってのものなのかなとも。
 音声入力含めて、お約束に理由付けをしてそこから設定を膨らませて行くやり方はすごく神坂先生っぽい。今回、ロボットものという新ジャンルに挑んだわけですが…ぜひ今後も新ジャンル開拓して頂いて、お約束斬っていってほしい!今度は時代劇とかどうだろうかとか思ってる。

■続きを激しく希望!

 この企画、全1巻ということで書かれたとのことですが…この設定1巻で終わるの惜しい…!キャラもいいし、設定だって!続刊激しく希望。ということで、続いた場合こんな展開が読みたい的なのを。

・グランアース大ピンチ
 上にも書いたけどグランアースとシアがピンチになる展開をぜひとも。で、新型ロボに乗り換えですね。これ鉄板!

・ナザンとシアの接触
 作中でナザンはグランアースに乗っているのがシアだと気付かぬままでした。やはりこれも鉄板展開として、「互いに敵同士と気づかないまま出会い、心を通わせる二人」というやつをぜひ。「まさかお嬢ちゃんが乗っていたとはな」「ナザンさん…どうして…わたし、あなたが悪い人だとは思えません」みたいなのを。

・高杉さんとの仲が進展する
 今のところ、影ながら守るポジション、共に戦う仲間というおいしい素材なのに、同じ職場の仲間レベルな二人。秋田先生版ではもうちょいいい感じになったので神坂先生の方もぜひ一歩進めて頂いて!シティバイパーイラストで見たかったな。ほんとにかっこいいんだろうかw

 とまあこんな感じのを…いやなんでもかまわないので続きをぜひ…!

秋田禎信先生版「メックタイタンガジェット 虐殺機イクシアント」

 こちらも読みました。面白かった!こっちも読むと「シェアードキャラクター」の意味が分かってきます。基本設定同じだけど、立ち位置のちょっと異なるキャラクターたちが別の世界観で活躍する物語。「あ、こっちではこういうキャラなのね」、と平行世界を覗いているような楽しさがありました。特に、神坂先生版ではちょい役の街殿先生やシアの友人ヤマトと京子が秋田先生版ではメインで活躍していました。この3人は意味深に登場した割にあんまり出番なかったなーと感じていましたが、むしろ秋田先生版のキャラだったのかも?イクシアントは航空母艦みたいなのに乗っていて、登場人物多く必要ですものね。
 全体的に神坂先生の方がこの企画の元になる部分を押さえたシンプルな面白さ、秋田先生版がそれを発展させた面白さでキャラクターもより掘り下げられているように感じました。スーパーロボットものとそのあとに登場したリアルロボットものという流れにも関係しているのかな?読み順も神坂先生→秋田先生の方がすんなり入りこめそう。
 1冊だけ読んでも面白い。2冊読むとより面白い。そんなコラボ企画お見事です。果たしてエヴァっぽいバージョンを誰かが書くことはあるのでしょうか?