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冥王フィブリゾの敵キャラとしての完成度はパねえ

スレイヤーズ

 Twitterに書いた話の再録まとめです。TLに大量投下したところ、好評頂いて嬉しかったのでサルベージします。

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 スレイヤーズ原作1部及びアニメスレイヤーズNEXTのラスボスである冥王フィブリゾ。彼の敵キャラとしての完成度って至高だと思うの。ほんとよくできた敵役だなあと。以下、順を追って語ってみる。

1.絶対的な力
 とにかくリナにとって、絶対強者なフィブリゾ。ある意味戦った魔族の中で最強なんじゃなかろうか。魔王は人間を内包しちゃってる分、ウィークポイントになる隙がある。さらに言うなら、魔族は基本人間をなめていてそこが弱点になる場面もあるんだけど、冥王フィブリゾはその基本姿勢を持ちながらも、それが弱点にならないくらい圧倒的に強い。あれだけ苦戦しても倒せなかったガーヴをあっさり倒しちゃうフィブリゾ、という演出もベタな良さが。
 改めて考えれば、リナvsフィブリゾの戦いも勝負の上ではフィブリゾの勝ちと言えるだろう。魔族の真の恐ろしさを見せてくれた存在だった。リナはそんな強敵と対峙し、勝負には敗れながらも、「L様」というジョーカーの存在により生き残る、という結末には「お見事!」と唸ってしまう。

2.決して相容れない「魔族」という立ち位置
 敵キャラの立ち位置って、主人公にとって共感できるかできないか、ってところである種の分類ができるのかな、とか思う。スレイヤーズ本編でいうと人間敵の場合にはリナも情が移ることが多い。でもフィブリゾは完全に後者―リナにとっては敵以外の何物でもなく、生きるため…ガウリイを助けるためには倒さなくてはならない存在。敢えて言いきってしまうとリナから見れば「絶対悪」なわけで。
 しかし、フィブリゾはフィブリゾで「滅びを望む魔族の本分」としてリナを利用した世界の滅亡計画を立てている。フィブリゾのこの戦う理由は「人間とは存在理由が異なる魔族」という設定そのものと言いますか。この魔族の立ち位置って、シンプルかつ独特で面白いと思う。
 考え方の違う両者は決して相容れず、敵対関係は揺るがない。リナも戦うという選択肢に不安や迷いはあっても、それは力の差やガウリイを人質に取られているという状況から来るもので、相手への感情的な面からのやりにくさではない。逆に「情が移る敵キャラ」は二部の方に集大成としてルークが登場することになる。ここでリナは、力量差云々の前に、戦うこと自体を否定し、葛藤することになる。この対比も面白いなと思う…けどそれはまた別の話。

3.不敵な策士っぷり
 フィブリゾの作戦って、あまりに事がうまく運びすぎて、思わずニヤニヤしてしまうほど。「リナを利用して何かをたくらんでいるとガーヴの部下に漏らす」というトリガーから、駒たちが面白いように踊らされている。
 概要をまとめると…フィブリゾの目的は2つあった。一つ目は離反者である魔竜王ガーヴを誘き出すことで、もう一つはリナに重破斬を使わせ、暴走させて世界を滅ぼすこと。影ながら勢力拡大を狙っていたガーヴ一派は、リナを殺そうとして、逆に引っ掻き回され、目的を果たせぬまま、ついにはガーヴ本人までがリナを殺そうと姿を現すことになった。一方、リナは自分の生命を狙う魔族に対抗しようとL様の力を求める。それこそが真の目的とも知らずに…。
 言うなればフィブリゾドミノの最初のひと押しをしただけで(ゼロスをお目付け役につけてるけど)、あとは勝手に駒たちが動いて計画通りに事が進んだ…これはフィブリゾ視点で見ると「計画通り!」ってニヤニヤしたくなるエクスタシーだよね。嫌な奴め。一応誉め言葉ですよw
 で、このフィブリゾの計画というのは1部(NEXT)の構成の核となっているもの。一見バラバラに見えた事件はすべて繋がっていて、しかもその先には壮大なドラマが!という構成。読者(視聴者)的にもエクスタシーを感じずにはいられない!

4.陰険な性格
 フィブリゾは、特にリナ視点で見た場合…とことん嫌な奴だと思う。NEXT終盤、じわじわとリナはを追い詰めていくフィブリゾには心底腹が立った。と言い切ってしまうと、語弊あるかもだけど、これも敵キャラとしての魅力だと思うの。リナの心理と視聴者の心理をシンクロさせる演出の妙。「子供の姿」というのもキーになっているよね。本人も言ってる通り、うっかり騙されるわ、ギャップ萌えだわ…。

5.そして崩壊
 絶対的な強さと用意周到さでリナを追い詰めたフィブリゾは、根本的な勘違い…L様ご本人降臨により滅びることになる。原作はあとがきを利用したまさかのギミックの面白さがありつつも、滅び際はあっさり。L様一人称なこともあり、あくまでL様視点でことが進む。
このあっさりさも魔族らしいんだけど……アレンジの加えられたアニメ版でこそ敵キャラとしてのフィブリゾの完成度が高まったのかな、と私は思う。
 NEXT最終話で彼は今までの余裕はどこへ?ってくらい崩壊していく。顔芸しかり、逆ギレ暴走しかり。前半はフィブリゾオンステージと言っても過言ではないくらい。今まで順風満帆だっはずの作戦が…大元が間違っていた。これは大ショック!原作とは異なりフィブリゾ視点で進む滅びへの序曲。そして名セリフ「あなたに…そう創られたんだからなあ!」…これを聞いたときに1〜4で語ってきたフィブリゾ観が一気に逆転した。…「なんだかちょっとかわいそうだな」と。滅ぶために存在しているという矛盾した魔族の生き様は生まれたときから決まっていたんだなぁ…。もちろん人間としての感想なので、魔族から見れば大きなお世話なのかもしれませんが。リナとは合いいれぬまま倒れたフィブリゾだけど、最後にちょっとウェットなところを見せたことで、視聴者的には少し歩み寄れたように感じる。感情移入できた、ってやつかな。

 以上、長々と語ったけど…絶対的に強く、魔族として人とは違う価値観を持ち、巧妙な策でガーヴとリナを手玉に取り、嫌な敵としてリナを追い詰めながら、最後はかわいそうだなと思わせて散っていく…そんなフィブリゾの完成度の高さはパねえ。