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「2周目」のスレイヤーズ

 今朝、Twitterにつぶやき始めたら止まらなくなった2部語りのお話。まずはこちらのTwitterまとめを読んでいただきたい。
 
スレイヤーズ第2部を語る :「2周目」のスレイヤーズ

 これの続きを書こうとしたらTwitterに収まる内容じゃなくなったからブログに纏めます。Twitter派生ということで、纏まった文章というよりはつぶやき的かも知れません。読みにくかったらごめんなさい。でも書いてみます。くしくも2010年5月でスレイヤーズ2部完結10周年なので、強引に「10周年に寄せて」ってことにしてみるw

 2部に関するファンの皆様の様々な思いを目にして思ったこと。私もリアルタイムで読んだ時は2部イマイチだなーと思ったクチです。やはり1部の印象が強すぎた。特に物議の14巻…誰もが予想していなかった展開。私が当時好きだったスレイヤーズは明るくパワフルに笑って楽しめる話だったんですよね。大変ショックを受けましたとも。
 ラストもどうにもしっくりこないまま終わってしまって…結局覇王の策は大筋に関係なかったし…1部のような「今までの魔族の動きの種明かし」といった内容もあまりピンと来なかった。
 ところが、完結から3,4年経って読み返したときに、14巻・15巻の時のリナの気持ちにものすごく感情移入しちゃった。ああ、私はリナというキャラを理解しきっていなかったんだな、とその時思った。私の中で憧れだけの存在だった彼女は「人間」だったんだよ、と。
 2部がリナを始めとする「人の心の弱さ」の物語であると気づいて読んだらもう鳥肌立ちましたよ。なんだこの構成は…単体でもいくつかのエピソードとして読める話の裏側で…このテーマを描くべく、いくつもの要素がラストの展開に向かって絡み合いながら一つに纏まっていくじゃないか!2部の構成については、以前図解したことがあるので、リンク貼っておきます
 そして、「人の心」という要素は、実は改めて読むと、1部の頃から描かれていたんですね。2巻とか6巻とかまさにそれ。そうか、これがエンターテイメントという表の部分の裏に隠されたスレイヤーズのテーマなんだな、と。2部はストーリーとしては「スレイヤーズとは別の話用に考えていたものをあえて世界観変える必要ないかな、と思い、スレイヤーズでやることにしたした」、とのことでしたが、根っこの部分ははスレイヤーズの中にも示唆されていたように思えます。
 もちろんスレイヤーズはエンターテイメントの部分も素晴らしいです。魅力あるキャラクターや世界設定、息をつかせぬストーリー、思わず吹き出してしまう笑いの要素…これらは全てスレイヤーズの魅力です。神坂先生的にはこれらのエンターテイメント的要素をを中心に据えたお話は1部で書ききったのではなかろうか?Twitterに書いた部分でも語りましたが、キャラクターや世界観に関しては、1部で一つの形として仕上がったように思えます。
 ふと振り返ると前述の2巻って2部的内容なんですよね。2部で一度「人の心」というテーマを核に組み込んだ話を書きながら、3巻ではまた1巻で登場したレゾが再登場して…というエンタメ的な話に戻っている。どっちの方向性に進むべきかテストして、読者の受けからエンターテイメントの方を選んだのではないかな?
 そこで「2周目」に何を書くか…と考えたときに、選ばれたのが2巻で一度書いた「『人の心』というテーマを中心にして描くストーリー」だったのではないか?
 そこはやはり1部あっての2部。1部でファンの心を掴んだ…だからこそ思い切って書き手が書きたい事が書ける2部。とは言え…批判が出るであろうことも承知の上だったように思えます。神坂先生は「1部と雰囲気は変わってくる」と2部序盤のあとがきで何度か語っていました。その姿勢からも、「受け入れられない人もいるだろう」という割り切り…覚悟を感じます。
 「書きたい事を書く」…その信念は残酷なまでの徹底振りでした。Twitterには「今は受け入れているけど当時は釈然としなかった」「2部を受け入れられずにスレイヤーズから離れてしまった人もいるのは残念」というようなご意見が。…すごくわかる。2部の良さはキャラクターへの愛着から来るあの衝撃をまず受け止めて…その思いを一周させて、キャラクターに感情移入して同じ気持ちになってこそ出るものなのではないか?などと思います。ぶっちゃけハードル高いんです。受け入れるのに時間がかかる。
 ショッキングな内容以外にも、1部の人気キャラだったゼルガディスとアメリアの未登場、というのもファンの敷居ハードルを上げている要素です。二人が出なかった理由もやはり「物語としての纏まりを優先させるため」だったそうで、「作者が書きたい事」を優先させた結果だったようです。ストーリーや世界観の広がりも1部に比べたらパワーダウンしているのは否めないですから…その点からも「2部はイマイチ」と去って行ってしまった人もいるでしょう。1部という比較対照があったこともネックでしたね。これはシリーズものの宿命かもしれない。常に全盛期と比較される、っていう。
 読者が簡単に受け入れられない下地である…そういう意味では確かに2部は失敗だったのかもしれません。ハードルを越えた先の内容がどんなに良くても、まずは受け入れてもらえなければ、入り口で拒否されてしまってはそこに至れない。
 でも、私…2部を受け入れられたのは「スレイヤーズだったから」、のような気がします。スレイヤーズが好きだから何度も読み続けて、リナが好きだったから、感情移入できたからこそ、2部の良さに気づいた。スレイヤーズ以外の神坂先生の作品でこの話が書かれていたら…、いつ頃読んだかにもよりますが…「今ひとつ」と受け入れずにそのままになるか、受け入れたとしてもここまで感動してはいないと思う。やはり、1部あっての「2周目としての2部」なのです。そんなこんなで、今は2部のほうが好きですね、私。
 結局、最後は個人的な感想に行き着いてしまいましたが…「2周目の2部」、今改めて振り返ってみて、素晴らしかったと思います。神坂先生の「書きたい事を書く」という思い切った決断、今は全力で支持します。
 Twitterの部分にも書きましたが、2部はリナの挫折と再起の話でもあると思うんですよね。再起しかけたところで終わる、というのもなんとも神坂先生らしい。彼女がどんな道を辿るのか…あとは読者の想像に委ねる…ネバーエンディングストーリーですよ。妄想想像の数だけ未来があるのです。
 きっとこの続きが神坂先生の手で描かれる事はないでしょう。だけど、私はその姿勢も支持したい。ちと、バクマン話から始まったからバクマンネタで締めてみる。バクマンに出てくる天才マンガ家新妻エイジは、ジャンプ編集長に「一番になったら僕の嫌いなマンガを一つ終わらせる権利を下さい」という条件を突きつける。この発言の真意はまだ作中では明らかになっていませんが…ネット上では「自分のマンガ用」じゃないかと言われています。人気が出たマンガというのは、商業的な問題なども絡んで、終わり際を自分では決められないんですね。終われないから、ダラダラ話が引き伸ばされちゃう。そこを付いて、「僕のマンガは終わりたいタイミングで終わります」というアピールをしてくるんじゃないか、という予想。…個人的にはそれでいいので作中でも採用して欲しいw
 おっと脱線。神坂先生も一番になったのですから、自分が納得するタイミングで作品を終わらせる権利を持っていると思います。ちゃんときちっと纏まった形で最後まで書いてくれたわけですし…。だから、私はそれを受け入れたい。などと言いつつすまっしゅ。が終わったらめっさ凹むと思うし、外伝とかスピンオフは書いて欲しいと思ってますけどw…結局纏まってないけど終わるw