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スレイヤーズ15 「デモン・スレイヤーズ」ネタバレ感想 その4

 前回から3ヶ月も放置してしまった…。なんか他の記事を優先したり、ゲームやったりしてたもんだから…。でも、書き始めたからには最後まで書かなくては。
 間が開いているので過去に書いたものへのリンクを貼っておきます。第3回まで書きました。
 その1その2その3

 前置き長くなったけど以下はネタバレ話。
 前回はリナが魔王と戦う決意をして、「戦闘モード」で戦い始めるところまで書きました。ので、その続き。
 戦闘モードに入ったリナ。最初の方針を決めるまでのくだりはページ数にして3ページほどですが、文中にもある通り、時間にしたらほんの一瞬なんでしょう。感情を押し殺しつつ、これだけの計算を一瞬でやってのけるリナの頭の回転の速さと精神力にはやはり惹かれる。
 しかし…魔王の動きはリナの計算を一瞬で覆す。リナへの近接攻撃…「考えてみれば当然」「それを読まなかったのはこちらのミス」とモノローグにあります。確かに…リナの作戦はよくよく見て見ると、「自分たちがどう戦うべきか」のところで終わっていて、魔王の出方に関する読みが甘い。この辺はまだ動揺から完全に抜け出きらなかったからかな。戦闘モードと人の心…スイッチはそんなに簡単に入れ替わってはいなかった。
 いきなり訪れるピンチ。ここで

ま近で嗅ぐ『死』の臭い
今までになく、濃厚に

 というモノローグが。「死の臭い」という言葉、初めて出てきましたが、このシーンの緊迫感を高めていますね。今まで死線を潜り抜けてきたリナだけど、今回はそれを強く身近に感じたのでしょう。初手でのいきなりの「死の臭い」というあっさり感がまたなんとも深いように思える。死は時としてあっさり訪れてしまう。ミリーナが命を落としたように。それは本当に紙一重なのかな、なんて。実際、そんな「死の臭い」はガウリイの援護によって瞬時に消え去ります。まさに紙一重の攻防。
 魔王が攻撃をやめた理由をリナは「ガウリイ相手に賭けに出るのをやめたから」と読みましたが…ルークが躊躇ったから、というのは深読みかな?ガウリイの「思い」を乗せた気迫に押されてつい…みたいな。ミリーナ同じ状況になったら、ルークは絶対同じことをしようとしたと思うし。…どうだろう?
 ここからしばらくはガウリイの見せ場!もうリナには近づかせない、とばかりにラッシュ攻撃。これでリナが最初に目論んだとおり、ガウリイが接近戦、リナが中距離から援護、という形が出来上がった!しかし、相手は魔王、一筋縄ではいきません。ガウリイは先に倒されてしまう。まあ、ガウリイが先に倒れるのは「ボスキャラはリナが倒す」という制約上のお約束といえばお約束なんだけど…ここは茶化してはいられない重要シーン。ガウリイが致命傷を食らったことを魔王に指摘された後のリナの心の動きがまた良いのです。

――すなわち――死――
思った瞬間。
肺が縮む。
――そんなことはさせない――絶対。
「……一対一の勝負……こっちは時間制限つき……ってわけね…」
声は、自分でもおどろくほど静かだった。

 このシーン、読むたびに熱く切ない思いがこみ上げてきます。ガウリイの後押しで魔王となったルークと戦うことを決意したリナ。だけど、このシーンまではまだ若干迷いがあったように感じます。動きや思考もいつもより硬い。理性では「戦う」と決めても、心がどこかそれを拒んでいたのではないかな、と。
 だけど、ガウリイが倒されて、このままでは死ぬと宣告されて…ここでリナの決意がもう一段階深化します。それも「おどろくほど静か」に。魔王となったルークが世界を滅ぼすかもしれないという危惧だけでは、友人であるルークを倒すという選択は即断できなかった。でも、例えルークを倒すことになっても、ガウリイは失いたくない。そこに揺らぎはなかった。残酷なようだけど、ルークとガウリイを比べて、当然のように、迷うことなくガウリイを取った。「心」も決まったんですね。
 さあ、ここからが正面突破です。もう迷いはない。リナは急激に「らしさ」を取り戻していきます。「実験」と称して色々試し始める。そんな軽口や、頭の中でのツッコミなど、普段の戦闘時のペースを取り戻しているかのよう。だけど、相手は魔王。決して余裕なわけではなく、軽口を叩きながらも魔王を倒すべく「頭の中はめまぐるしく活動」中。ああ、痺れるね、もう。
 そしてリナは思い付きからデモン・ブラッドを媒介に異界の魔王の力を借りる、という方法を試す。これに関しては…思い切って言ってしまおう。初見時は出来すぎ感というのがあったりしました。デモン・ブラッドが実は賢者の石であることは、この直前にルークの口から少し説明セリフのような形で語られたもので、ちょっと段取り的な感じがしてしまって。もちろん、相手の言葉を聞き漏らさず、ふとしたキーワードから勝機を見出すのはリナの持ち味ではあるし、「飲む」という行為もレゾがしたことを思い出して真似た、というパズルはお見事なので、今は好きなシーンです。異界の魔王たちの呪文の描写も素敵ですしね。それに、これは魔王戦隠し玉3発の序章にすぎません。
 異界の魔王の呪を3発打ち終わって…残るはシャブラニグドゥのデモン・ブラッドのみ…そこでリナはあることに気づく。

答えは。
最初から、そこにあったのだ。
そんな気がした。

 詰めに向けてのモノローグ…痺れます。自称パズラーの神坂先生の真骨頂!後付けをここまでうまく書く作家さんてなかなかいないよなあ。ここまで来ると逆に「最初から全部決めてました」よりすごい。
 詰めの前にもう1発の隠し玉!神滅斬2刀!これは燃えた。呪文シャウトも力入ってる!「まだ、まだ」ってタイミングを計って、出して、空振り、でも振り切った勢いで2刀目…ああ、映像が頭に浮かぶなあ。ルーク=シャブラニグドゥ戦はリナの心の動きが肝、だと思っているので、映像で表現しにくい、という意味で、あまりアニメ向きではないと実は思っています*1。でも、このシーンはアニメ向き、というか映像映えしそう。見てえ。聞きてえ。
 神滅斬は魔王の剣を切り裂いたのみ。魔王も「勝敗は決したな」と勝利を確信する。魔王はずっと神滅斬を警戒してましたからね。それさえ防げれば…当たらなければ…ルークの言う「結論」は出る。そう思っていた節がある。だけど…まだ終わってない、リナはこの魔王が油断する隙を狙っていたのかな?あの異界の魔王の呪3連撃の次に撃ってもよかったわけだし…。
 そして…最後の詰め…まさかの竜破斬。これはもう、ギミックの点でも、スレイヤーズの締めくくりとしても、2度目の魔王戦の結末としても、これ以上ない締めの呪文でしょう。
 「魔王の力を借りた呪文で魔王は倒せない」…これは1巻で示されたスレイヤーズ世界の魔法の大原則。それを逆手にとったギミック…しかもそこにルークとリナの思いというドラマが加わる。魔王に竜破斬によって滅びる理由を聞かれて、内心の動揺を隠しながら静かに答えるリナがもうたまらなく良い。「今さらながら漏れそうになる嗚咽を噛み殺し」…ルークの最期に立ち会って…一度は吹っ切れた思いが戻ってきたんだろうなあ。ルークが本当は滅びたがっていることも分かってしまって、それでいてその力を利用する形での攻撃というのもなんともやりきれなかったでしょう。
 ルークの方もまた切ない。本当の望みである「リナ達の手でミリーナのところに行きたかった」…それが叶って、「安らかな声」で応える。辛い結末だけど、それでもルークは救われていた…それがせめてもの救いなのかも知れない。
 ここでミリーナの最後の言葉も明かされます。「ヒトを嫌いにならないでくれ」。とても意味深な言葉です。わざわざ言うからには、暗殺者時代のルークはなんらかの過去があって人を憎んでいたのかも。そこをミリーナに救われて…という流れなのかな、やっぱり。読みたいなあ、二人の外伝。ブラスター読んでても二人に関しては常に「秘密」。そこは神坂先生の意志は固いようで…。いや、逆に考えてないときは「考えてない」とはっきり言ったり、その場でぱっと設定考えたりしてるみたいだから、「秘密」は何か二人のエピソード考えてあるな、絶対。贅沢な妄想を言わせて貰うと、外伝という形ではなく、リナの一人称で読みたいわ。二人の過去を知る人物に出会う、みたいな。そして、足跡を辿るうちに二人の絆をより深く知っていく。リナはその先に何を見るのか?…絶・対・無・理wすいません、贅沢言いました。ルークとミリーナの外伝読みたいです、うん。リナ一人称Ver.は勝手に妄想しますw
 最後に砂となって消えていくルーク。ここは砂時計の最後のところが鎮魂歌のように頭に浮かびます。ルークは向こうでミリーナに会えただろうか…。ここは理屈とかすっ飛ばして会えたと信じたい。
 長い戦い終わって…でもまだ山場は二つ残ってる。言うまでもないと思うけどw
 一つ目は宿屋でのリナとガウリイの会話!ここは萌えつつ感涙しつつですね。ガウリイの

 「泣いているのか」

 は11巻「クリムゾンの妄執」に続いて2回目。あの時は「まさか」と弱いながらも笑みを浮かべて返したリナだけど、今回は強がりながらも涙。それを優しく励ますガウリイ。

 ガウリイは、あたしの頬にそっと手を伸ばす。

 いいですねえ。萌えますねえ。茶々はともかく、この後ガウリイが言うセリフは2部のテーマそのもの。リナの隣にガウリイがいてくれてよかった、そう思える言葉です。それに応えるリナの言葉が

 「……ばか……」

 ってオイwなんと言うリナ=インバースクオリティwまったく…ここまで来てまだ逆のこと言うのね。いや、9巻で彼女はルークに冷たく「馬鹿」と言い放つミリーナを見ながらこう思ってました。

 ……これがまだ、頬などを赤らめ、視線をちょっぴり外して『ばか……』などとつぶやいたなら、『おおっ!?恥ずかしラブコメカップルか!?』なんぞと思ってみたりもするのだが…

 いやっほーう、ラブコメカップルキター!頬は赤らめたかはわかんないけど、絶対視線は外してるね。…すいません、真面目なシーンなのにwこの後リナはガウリイの前で少しだけ泣きます。ここは妄想の宝庫だなあ。次のシーンは数日後で、そこで切りますか!っていう。ガウリイはどんな風に見守っていたのかとか、リナはどうやって切り上げたのかとか。妄想想像の余地…ありがとう、神坂先生w
 数日後、ミルガズィアさんとメンフィスは別れを告げて去っていきます。宿屋のシーンもそうなんですが、ミルさんの空気の読み方は伊達に1000年生きてないね。
 「何かさらっと行っちゃったわね」のリナとガウリイのやり取りが好きです。落ち込んでる自覚ないのか、リナwリナは頭に手を置かれたまま、くいっと斜め後ろ上方くらいに視線を這わせてガウリイのほうを見てるんだろうなあ。身長差萌え。
 さあ、ラストの名シーンw押しの強いガウリイ君wここも萌えるなあ〜リナの狼狽が目に浮かぶようで…。ここは絶対わざとボケてるよね、ガウリイ。こうしてはっきり言わせず暈すところがなんとも「想像の余地」を大切にする神坂先生らしい。ゼフィール・シティに向かったリナとガウリイを待ち受けているのは一体!姉ちゃんの包丁か?
 最後のモノローグがなんとも感慨深いです。旅を通じて、いろんな人に出会って、痛みを背負いながらもリナが最後に出した答え。どう乗り越えていくかは描かれない。それは想像の余地であり、読者に投げかけたメッセージなのでしょう。神坂先生、ほんと今更だけど、スレイヤーズ長編全15巻を私たちに届けていただいてありがとうございました!
 ようやく15巻感想を書き終えた!でも最終章しか語ってないような気がするw前半パートも好きなところはもちろんありますよ!でもそれ以上に最終章への思い入れが強いんだもん。
 以上、こんなにも長文を最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

*1:もちろん、そこを敢えて小説にはない強み――映像と声の演技でどう表現するか、という部分でチャレンジしてもらえればアニメとして面白いものになると思いますが