「スレイヤーズりーでぃんぐ」のサイズについて

 「スレイヤーズりーでぃんぐが文庫サイズで驚いた」というお話をされている方を何人か見かけたので、ちょっと考察してみます。
 スレイヤーズの原作ベース解説本は「りーでぃんぐ」で3冊目です。
 1冊目は95年10月に刊行された「スレイヤーズでらっくす」。これはサイズはA4版で88ページ、定価1600円。キャラクター分析、ストーリー・設定ガイド、神坂先生&あらいずみ先生の対談、あらいずみ先生のラフ画コレクション、などなど。カラーページが多いのが特徴です。「ドラゴンマガジンコレクション」というシリーズ内での刊行。10年前はスレイヤーズアニメ関連本がこのシリーズで多数刊行されました。サイズはA4版〜B6版までまちまち。カラーページが多いので、値段は比較的高額。
 2冊目は98年9月に刊行された「えんさいくろぺでぃあスレイヤーズ」。サイズはB6版(青年コミックスサイズ)で257ページ、定価880円。内容はキャラクター分析、ストーリー・設定ガイド、神坂先生・あらいずみ先生インタビューに加え「えんさいくろぺでぃあ」の名前が示すとおり、キャラクターや魔法などの辞書パートがメインコンテンツ。カラーページは皆無で、紙もざらざら、と値段を押さえている印象です。
 このB6サイズの解説本は「えんさいくろぺでぃあスレイヤーズ」を皮切りに富士見の他の作品でも多数刊行されています。「ドラゴンマガジンコレクションSP」という括りで、「エンサイクロペディア○○」or「超解(スーパーガイド)○○」というタイトルが付けられるのが恒例になり、富士見の解説本と言えばB6サイズ、が定着しました。恐らくカラーは少なくても、値段が安価でページ数が多いものが読者にも好まれたのではないかな、と。
 そして3冊目が今年(09年)6月に刊行された「スレイヤーズりーでぃんぐ」。サイズは文庫版で238ページ。内容はキャラクター分析、ストーリー・設定ガイド、神坂先生・あらいずみ先生インタビューという定番コンテンツ、辞書パートも主にえんさいくろぺでぃあに加筆する形で再録*1。カラー口絵15ページ付き。価格は760円。
 「文庫サイズ」と書きましたが、サイズが文庫版なだけでなく、原作小説と同じ「ファンタジア文庫」として刊行されています。「か-1-5-1」と、通し番号も振られています。この「ファンタジア文庫」としての解説本は09年3月に刊行された鋼殻のレギオスの解説本「オール・オブ・レギオスI」が最初。ただ、「スレイヤーズりーでぃんぐ」は当初08年10月発売予定だったものが、延び延びになってようやく09年6月に刊行されているので、企画としてはスレイヤーズりーでぃんぐが先or同時期進行だったのかな、と思います。今後はこの文庫サイズの解説本が富士見の主流になっていくでしょう。
 サイズが小さくなってしまったので、ページ数が同程度でも情報量が減ってしまったことは残念。でも、文庫サイズ化は販促上有効な戦略だと思います。以下に文庫サイズ化した理由を考察。
 恐らくは、「文庫サイズだと書店で原作小説と同じ場所に陳列してもらえるので、読者の目につきやすい」という点を考慮しているのではないかと。B6版の解説本、皆さんは書店のどの場所で見かけていましたか?私は主にコミックスの棚か、サブカルチャー本の棚で見かけていて、ライトノベル文庫の棚に置いてあるのを見かけたことはありませんでした。本屋さんがサイズ的に漫画と勘違いしてコミックスの棚に置いてしまっていたのか、はたまたサイズが違うので文庫の棚に納まらなくてコミックコーナー、サブカル本コーナーに置かれてしまったのか。もちろんちゃんとラノベ棚に置いている、という本屋さんもあると思うのですが。違う場所に置かれてしまうと・・・ラノベを買いに来た読者の目に触れない→存在すら知られない→売れない→邪魔→返品、という負のスパイラルに陥ってしまっていた部分もあったのではないかな、なんて。
 そこで「ファンタジア文庫」としての解説本の登場です。これはきちんと原作小説の隣に陳列してもらえるでしょう。そうすれば、読者の目に触れる機会も増えて、「こんな本もあるんだ」と気になって買っていく人も増えるのではないかな、と思いました。文庫1冊のスペースであれば、さほど場所も取らないので、本屋さんも継続して店頭に置いてくれるかも知れない。
 この「原作本と同じサイズの解説本」というのは富士見だけじゃなくって、ジャンプのコミックスでも現在主流になっています。昔は解説本はA5サイズで出ていたと思うんですよね。それが今は普通のコミックスサイズがほとんど。アニメのガイドブックもコミックスサイズで出る。でも完全版(A5サイズ)の解説本だと、完全版サイズに合わせてA5で出る。
 数年前、ジャンプ本誌のアンケートで、解説本のサイズについて質問していたのを覚えています。「コミックスと同じサイズが良い」「大きいサイズが良い」みたいな幾つかの項目から選ばせていました。このアンケートの後、しばらくしたらコミックスサイズのものばかり出るようになりました。恐らく「コミックスと同じサイズが良い」と回答した人が多かったんじゃないかな、と思っています。確かに読者的にも、家で本棚にしまう時、1冊だけサイズが違う、というのはなんとも締りが悪いもの。最近ではコミック専用本棚、文庫専用本棚、なんてものが出回っていますし。ジャンプコミックスの例を挙げましたが・・・他の出版社でもやっぱり原作コミックスと同じサイズで出しているような気がする。そんな世間の流れに富士見も乗ったのかも知れない。
 さて、「スレイヤーズりーでぃんぐ」、さっきも触れたとおり、文庫としての通し番号が振ってあります。神坂先生の既刊本の通し番号を纏めると、

 か-1-1 スレイヤーズ(長編)

 か-1-2 スレイヤーズすぺしゃる

 か-1-3 スレイヤーズすまっしゅ。

 か-1-4 スレイヤーズせれくと

 か-1-5 スレイヤーズりーでぃんぐ

 か-1-6 アビスゲート

 ということになってるようで。・・・りーでぃんぐ、「か-1-5-1」と、通し番号分けたんだから2巻以降も出る・・・よねw?今度はすぺしゃるのデータを纏めて出すんだ!がんばれ富士見編集部!

*1:ただし長編データのみなのですぺしゃるのデータはカット