角川つばさ文庫版「スレイヤーズ1 リナとキメラの魔法戦士」ネタバレ感想

 ついに出ました「児童書版スレイヤーズ」。第一報を聞いたときはぶったまげた。児童書展開というのももちろん驚きなのですが、まさか他の小説家さんが書いたスレイヤーズがオフィシャルで出るとは!とりあえず一読して…スレイヤーズファンとして楽しませて頂きました。児童書としての評価は私にはよくわからないので、以下、スレイヤーズファンとして読んだネタバレ感想。


 スレイヤーズ1巻の内容をキャラクターの個性と冒険ファンタジーという点に特化してアレンジしたスレイヤーズ、という感じでしょうか。児童書ということで、キャラクターの年齢が全体的に下がっています。リナ12歳、ガウリイ18歳。ナーガは「女の子」って書かれてるからリナより少し上くらいかな。キャラの性格も年齢面だけじゃなく、いろいろアレンジが加わっている印象です。
 多分、原作のリナがこれを読んだら「なんじゃこりゃ〜!!」って叫ぶと思うwだけど、ファンとしてはそんな幼く、そして毒がないリナたちをなんだか温かい目で見守りたくなってしまう。
 つばさ文庫の基本パーティはどうやら4人になりそう。リナ・ナーガ・ガウリイ、そしてまさかのシルフィール。
 リナとナーガは「いつも喧嘩ばかりしているけどなんだかんだで友達同士」な関係にアレンジされています。喧嘩パートは原作を幼くしたイメージなのですが「なんだかんだで友達同士」のところがなんとも和む。リナがレゾの人質に取られて、賢者の石を渡すように要求されたときのナーガがかわいいよ。リナもモノローグながらそれに応えます。この凸凹コンビがつばさ文庫版スレイヤーズの主軸になりそうな気がする。
 ガウリイはリナが原作初期以上に幼いこともあって、リナを子ども扱いするのも無理ない感じになっています。保護者のお兄ちゃんという感じ。異性としてまったく意識していないせいか、素直に甘えるリナがかわいいですwこのつばさ文庫版がどこまで続くのかはわかりませんが、この二人の関係が進展することはあるのか!?…あくまで仲間の一人で終わりそうな予感だwまあ、かく言う私、アニメの無印を見ているときにはリナとガウリイの恋愛なんてまったく想像もしていなかった人だったりしますw相棒としてはナーガの方が一歩関係深い感じなので、「保護者」としてリナを見守る立場になるのかも。でも、シルフィールいるからなあ。ここは三角関係に発展してみる?
 まさかの伏兵、シルフィールw彼女の登場は児童書らしさみたいなものを感じました。ドタバタした性格のリナとは正反対の優等生キャラクターとして登場。リナも最初は「相性悪いかも」と思うんだけど、次第に打ち解けていく形になっています。パーティの良心的存在、みたいな立ち回りになるのかな?ガウリイに思いを寄せているのは原作通りなのですが、ツンデレ化してるwやっぱ年齢が幼くなっているせいもあるだろうなあ。
 「キメラの魔法戦士」ことゼルガディスは、そこそこ活躍していてかっこいいけど影が薄かったwスポットとゾルフも生き残ってお供しているみたいだし、もう再登場はないかもしれない…。
 キャラクターの変更で一番驚いたのはレゾですね。なんか愉快なキャラクターになってるwいやはやこれはこれで良、ですよ。歌吹きましたw
 さて、リナについて。帯に「こんな友だちがほしい!」というアオリが書いてあります。最初これを見たときに違和感、というかツッコミが浮かびまして…「いや…リナは友だちにしたら振り回されてめちゃめちゃ大変だと思うぞ…」。ファン歴長い私ですが、リナを「友達にしたい」と思ったことはないですwむしろ「自分がなったら楽しい」という方向、もしくは「憧れの存在」として好きです。
 でも、実際に読んでみて、このつばさ文庫版リナは「友だちになりたい」キャラクターというのを目指して書かれているのかな、と思った。なんというか等身大なんですよ。原作のリナが持つ奔放さや強さがあまり強調されていないように感じる。奔放さが押さえられているのはやっぱり児童書だからでしょう。強さの部分については、魔法の力は強いものとして描かれていますが、精神面の強さはあまり感じなくて、幼さ…読み手である子供達ににしてみれば「等身大」な部分が目立つような。このリナだと、憧れよりも友だちとして一緒に旅をしたら楽しいだろうな、というように思えるような、そんなキャラクターに仕上がっているように感じました。読み手とともに成長していくキャラクターなのかな、と。
 そう思ったら原作の名セリフ「たとえ勝てる確率が1パーセントだとしても(中略)勝つつもりで戦うのよ」のシーンがなくなっているのも納得かな、と。原作のリナも本編1巻から15巻の間に「成長している」と思える要素は多々あります。だけど、上記のセリフに象徴される「強い意志の力」という部分は1巻時点で持っている強さで、ある意味完成している。もちろん途中でそれが揺らぐ場面はあります。でも、結局はその気持ちを取り戻して立ち向かう。成長の過程で新たに得たものではない…そんな風に感じます。
 つばさ文庫版のリナはまだその強さを持っていないのかも知れません。これから4人で旅をしていく中で手に入れるのかも。成長の余地の在るキャラクターですね。そんなもう一人のリナを応援していきたいです。かわいいですしw
 最後にイラストの話。かわいいですね、これw全体的に線のラインが丸くてコロコロした感じですwそれでいて甲冑とかアイテムはしっかり書き込まれています。2巻以降も期待できそうだ。最後のページの4人並んで歩いているシーン…リナ小さいwガウリイの腰くらいまでしかないじゃないかwダメだ…小さいリナ萌えるwこれ、ガウリイが頭をなでるとき、腰落とさないとダメなんじゃなかろうかw
 残念なのはキャラクター原案としてあらいずみ先生の名前がクレジットされてないことですね…。このイラストはあらいずみ先生ありき、なのになあ。表紙は無理でも奥付とかに…ねえ…。
 *追記
 一応コピーライトのところにはあらいずみ先生の名前あるのか。