新装版スレイヤーズ11 クリムゾンの妄執 ネタバレ感想 1

 2部再感想シリーズ第2弾、いきます。15巻まで読み終えた後の感想ですので、新装版派の方は注意を。

 このお話は、一つの物語として完結しつつも、結末そのものが今後の展開の伏線になっているという大胆な構成になっています。そして描かれているものは2部のテーマの縮図なんですよね。
 愛する人の死を受け入れられず、復讐に手を染めていくベル。それは魔族との完全な融合という形で実行される。復讐への思いが強まると、その対象はこの世の全てに向かう、という悲しい狂気もここで既に示されている。アリアはそんな姉と戦わざるを得ない状況に追い込まれる。ベルはアリアへの愛と憎しみ、2つの感情の間で揺れ動き、最終的にはアリアの想いを受け止めて、残っていた「人の心」によって滅びを受け入れる。これは14巻以降のルークとリナに置き換えることが出来る。まあ、少しずれはあるけど。一見するとドゥールゴーファの登場以外は他の話と繋がりがないように思えるこのクリムゾンの妄執。ルークとミリーナも登場しません。でも、実は一番2部の本質に迫っていると言う…。読み返すと分かるこの旨さ。ささっと2部の構成を図解してみた。

 9巻の事件がそれぞれのエピソードの中に分かれて散っていき、最後に収束する構成になっている。この枠組みの中にエンターテイメントとしての面白さやなんかも組み込まれているんだから本当うまいと思う。覇王さんの企みが結局どこにも繋がっていかないところも何とも2部らしい。あくまで人間が引き起こした事件、なんだよなぁ。一見中盤のメイン、と思われる覇王との戦いが実は本筋に一番関係ない、っていう、クリムゾンとは逆の現象。こうして振り返ると覇王いなくても魔王は覚醒したんだなあ。シェーラはきっかけだから必須だけど。って、シェーラの暗躍は一応覇王の策、なのか。覇王戦を乗り切った一行がゾードという人間によって切り裂かれる、っていう切なさを盛り上げる効果は絶大なんだけど。そして前述のエンターテイメント性の部分担当だと思う。
 クリムゾンの話のはずが、ものすごく脱線している…。思いつきで書いてるもんだからorz。あとはクリムゾン独自の魅力とかあとがき話とか書く予定だったけど、今日はこの辺で。続きは明日以降に。