「スレイヤーズ」のテーマ

 小難しそうなお題だけど簡単に行きます。「スレイヤーズ」という作品のテーマって何?というお話。とりあえず原作ベースの話です。作者が言うには「娯楽作品」って事らしいけど・・・ちゃんとテーマはあると思うよ。私が思うに大きく二つ。以下、原作2部ラストまでネタバレ。未読の方は注意。


 一つ目はリナを中心とした型破りなキャラクター達が奔放に活躍する娯楽ファンタジー作品としての魅力。この面は原作1巻のノリ。賞に応募するために行き当たりばったりで書いたと言う1巻目。とにかくサクサク読めて、読後感も良い。難しいテーマよりも、とにかく面白さ、爽快さを前面に出している。この辺りはその後はすぺしゃるの方に大きく反映されていると思う。もちろん本編にもこの要素はふんだんに取り入れられていますが。まさに作者が言う「娯楽作品」としてのテーマ。
 二つ目は、「人間の弱さとそれを乗り越える意志の力」。急に堅苦しい話になったw真面目な話、この辺は長編としてシリーズ化していくにあたり、新たに付け加えられたエッセンスなんじゃないかと。
 スレイヤーズの世界では人間は弱い存在として描かれている。そもそも、人間は種族として身体能力、魔力の面では魔族や竜族やエルフといった他の種族よりも圧倒的に弱い存在と言う設定です。そして人は心の弱さを持っている。本編で事件を起こしてしまう人間って、己の心の弱さから歪んでしまった人ばかり。暴走を始める彼らが敗れるのもまた人の心ゆえ。ルビアを失った悲しみから不死の研究にのめりこむハルシフォム。リナたちを追い詰めた彼は、結局のところ愛するルビア(コピー)の手にかかり、笑顔を浮かべながら死んでいく。セイグラムと同化したズーマは、最後の最後で息子のアベルを気にかけ、その人の心ゆえ敗れ去る。セレンティアの街で起きた悲劇。それは人間の欲望・悪意・憎悪が日に日に膨れ上がり、弾けた結果起きたもの。愛する人を失い憎悪に囚われ暴走するルーク。魔王と化した彼が敗れる因となったのもやはり人の心だった。人の心は弱い、でもその弱さは決してマイナスの面だけを持っているのではない・・・そんなメッセージがこめられているような気がする。
 主人公であるリナも人の子なので、やはり弱さを持っています。リナは高位魔族に付けねらわれるはめになるわけですが、その圧倒的な力の前ではリナの力はとても小さなもの。そんな逆境に追い込まれながらも、活路を見出そうとするのリナの意志の力はとても輝いて見える。2部はそんなリナの心の弱さがよりクローズアップされる。でも、最終的には意志の力がその弱さを上回り、活路を見出す。でもその勝利は悲しみ・痛みを伴うもの。それでもリナはそれを忘れずに受け止めて乗り越える道を選ぶ。こうしてこの二つ目テーマを中心に考えてみると、スレイヤーズはやっぱり2部で完結なのかな、と思う。敵側を通して人の心の弱さを書いてきた作品。主人公がその「弱さ」を受け止めながらも乗り越えることを選択したことで、物語は一つの結論を得たのではないかと。
 などと真面目に語ってみました。なんか読書感想文のノリになってしまった。あんまりうまく纏まらなかったけど・・・。今日はこの辺で。