新スレイヤーズ ファルシェスの砂時計 前編 ネタバレ感想

 スレイヤーズレジェンド描き下ろしコミックのネタバレ感想です。作画は旭氏。

スレイヤーズ・レジェンド 上巻 2008年 09月号 [雑誌]

スレイヤーズ・レジェンド 上巻 2008年 09月号 [雑誌]


 まずは触れておかなければいけないのは・・・無駄にエロいね、ってこと。作画担当の人が成年向けマンガを主に描いていると聞いたときから覚悟はしていましたが・・・やはり・・・という感じでした。奇乳はまあ、この人の画風なんだろうから仕方ないとして、アメリアのパンチラはやりすぎだと思った。わざわざスカートはかせてるのはパンツ描きたいからとしか思えない。あらいずみ版コミックをとか、エロ要素が今までまったくなかった作品ではないので、方向性の一つとしてはありなのかもしれないけどさ・・・。今どれだけの人間がスレイヤーズにエロを求めているんだろう?って話。
 とは言え、ストーリーは面白かったので、その点は評価できると思う。キャラクターもリナが少しオヤジ入ってるのと、アメリアがパンチラ要員にされたこと以外は概ねイメージ通りで、うまく動かしていた。エロ入れなくても勝負できたのに、と思うと余計に残念かな。と、作風の話はここまでにして、内容のほうの感想行ってみましょうか。
 このマンガではリナ、ガウリイ、アメリア、ゼルガディスのアニメ4人組に加え、原作第2部よりルークとミリーナが登場しています。と言っても6人がなぜ知り合っているのか、という説明は特になく、既に仲間になっている前提で話は進んでいきます。そのあたりの違和感は特になく、すっと導入に入っていけました。キャラクターはどっちかって言うとアニメ版寄りかな。アメリアはリナの事「リナ」って呼んでるけど。メインキャラが6人と多いのですが、何とか全員活躍の場を与えられています。リナが主人公の割には少し薄味かな、と思うけど。あとはゼルが6人の中では一番出番が少ない・・・。
 ルークとミリーナが原作以外のメディアに登場するのは何気に初の試み。今までリナの一人称、という限られた視点からしか語られていなかった二人が今回掘り下げられていたのは嬉しいです。ルークはギャグもいけますね。普段のきつい目つきの時とのギャップが面白い。ミリーナはクールビューティという感じで「博識」というイメージが追加。なんかアニメに二人が登場したらこんな印象になりそう。
 さて、以下、シーンごとに追いながら感想を。
 ひと夏のバカンスを楽しむリナたち・・・と思ったら遭難中でした。しかし、みんな作風のせいで巨乳なのにリナだけ原作に忠実なへこ胸です。これだけ差があればリナが気にしてるのも、みんなに貧乳貧乳言われるのも納得だわ。詳しくは触れられてないけど、遭難した理由もその辺が原因のようで。
 ガウリイのいつものボケで状況解説シーン突入。リナ達が流れ着いた島は人は住んでいるものの、潮流の関係で外界から隔離されてしまった島らしく、造船技術も発達していないため、簡単に脱出することは出来ないらしい。こういうところではほんと便利なキャラだな。
 この島は平和そのもの。「俺達のように厄介の種みたいな連中が長居したら仇を生む」とシリアスに言うルークとそれを気遣うミリーナが印象的。過去を気にしてるんだろうな。結局ギャグシーンでうやむやになるあたりもいいな。
 そんな平和な島に現れる女海賊。魔弾と呼ばれるこのマンガオリジナルのアイテムが出てきます。後のシーンで解説があるんですが、原作スレイヤーズすぺしゃる「脱出!十把一絡げ」に出てきた「魔法を使って飛ばす砲弾」の技術から生まれたアイテムらしく、魔道士内では割とポピュラーな存在みたい。ただし認識は「使えないアイテム」として。・・・結構便利に使えちゃってる気がするけど・・・魔法が使える人間としては大して面白みも脅威もないアイテム、ってことなんだろうか。すぺしゃるのあの事件からせいぜい3,4年位しか経っていないのに、そっから改良→結局使えなくて廃れる、まで行くには時間が足りない気もするが、そこはオリジナル展開、ってことで流しておこう。
 魔弾を前に怯える島の住人。それを察したミリーナはルークに「魔法を使わないで倒すように」と指示。この辺の「言葉がなくても伝わる」二人の関係もいいね。・・・結局アメリアが正義の鉄拳でやっつけちゃうんだけど。
 女海賊は教科書どおりの捨てゼリフを残して撤収。ガウリイ「すんなり逃がしてやるなんて偉いぞ、アメリア。リナだったらあいつらが乗ってきた海賊船も奪われているところだ」。一同「それだー」とばかりに女海賊を追跡。このガウリイの「探偵の助手」っぷりがたまらなく良いw
 シーン変わって女海賊ノア。何か分けありっぽいところで敵襲。サービスシーンに突入。6ページもかけんでも・・・。でも、この辺の「引き」はいいね。来るぞ来るぞヤツらが!6人衆登場!すっかりリナが率いちゃってますw
 リナ「そのお宝はあたしが先に目をつけたのよ。そっちの都合で壊されちゃたまんないのよね」この一見身勝手だけど、芯が通った口上は好きだな。襲っている側が悪玉だって分かっていながら「うちの正義探知機は・・・」なんて言うあたりも。
 こっから戦闘シーン。各キャラそれぞれに見せ場が。ルークが使っている技は吸魔の剣に地系統の呪文を吸わせてるのかな?最後の〆はリナのドラグ・スレイブ。人間相手にはオーバーキルな気はするけど・・・まあせっかくの見せ場だし。
 最後の一人に親玉の場所を吐かせてお宝ゲット♪と盛り上がるリナ・・・でもそいつはいきなし魔弾で自害。瞬時にリナを助けに入るガウリイ。グッジョブ過ぎるぜガウリイ。「傭兵時代にこういう場面に出くわしたが・・・」とか昔語りをはじめちゃう。記憶力が復活してる!おおお〜なんか今回かっこいいぞガウリイ。
 ノアの船があっさりリナの船になったところで、ノアは取引を持ちかける。でもリナの理詰めであっさり却下。珍しく論理的な意見を述べるガウリイの助け舟もあって、とりあえず話を聞いてあげることに。
 ノアはかつてこの島の住人だったけど、島に目をつけた海賊に対抗するため、力を求め外の世界へ。帰ってきてみたら島の様子はがらりと変わり、自分を覚えているものもいなくなっていた、とか。ノアに魔弾を渡した人物はナーガっぽいwまた変なところで人徳を発揮して・・・。この島を脱出するにはその問題を片付けなければいけないようで、リナもしぶしぶ折れて事件解決に乗り出す。
 ここでいきなりゼロス登場。本気でオールスターなマンガやな。ゼロスが現れたのは「お仕事」。「この世界は、混沌の海に立てられた『杖』の1本。この島は他の杖との接点で、異なる世界の法則が成り立つ場所」ってことらしい。ん?この世界観はあくまで魔道士協会で言われている一説で、実際には世界は「球体」だったはずだと思うが。それとももっと大きな概念としての話なのかな?リナたちの世界以外にも世界が存在していることは事実なので、何らかの要因により、他の世界との繋がりを持ってしまった島、みたいな?
 ともあれなにやら意味深な言葉を残し、ゼロスは去る。去り際にルークに意味深な言葉を残して・・・「同居人はお元気ですか?」。「気づいてる」設定ですか!?どうやらルーク自身も自分の中にいるもう一人の自分の存在にうすうす感づいているかのような描写が。この辺は後編に何か使う気なんでしょうかね?原作ではどうだったんだろう。最終巻のセリフだと14巻の事件の後に気づいた感じなんだけど、何分原作はリナの視点からしか見えないので、前から何か感じてたよ〜って事でもおかしくはないかなあ。ゼロスがあっさり気づいてたならシェーラ乙、って事になるけど。
 翌朝・・・ノアに壊されたはずの村は元通りになっていた。村人からノアの記憶も消えているらしい。なるほど、世にも奇妙な物語とかによくある「毎日を繰り返しちゃってます」状態になってるのか。それがタイトルにもなっているファルシスの砂時計?ならば、今度はもっと派手に壊して、記憶を取り戻させちゃおう、とファイヤーボールを使うリナ。が、魔法が発動しなくなっている。リナだけじゃなく全員。何も知らない村人の中、一人「昨日」を知っていた司祭。こいつが黒幕か?って言うところで続く!
 なかなか熱い話でしたね。恐らく「繰り返し」の原因は司祭にとって迎えたくない「未来」があるせいでは?ゼロスのたくらみも気になる。前後編だと160ページかな?コミックス1巻弱のお話にしてはかなり濃いですね。これでエロがなければ普通に名作になりそうなんだけどなあ・・・。