スレイヤーズNEXTをちょっと見返した

 また旧作アニメを少し見ました。NEXTのガーヴ戦〜最終回まで。いきなり途中からなんだけど、この辺好きだから取り出して見てみた。ありがちな感想だけど、やっぱり時間が経ってから見返すとそれなりの発見がある。
 冥王宮に乗り込む前、リナとシルフィールが「もしフィブリゾがギガスレイブを使うように強要してきたらどうしますか?」「正直分からないわ」って会話するシーンではふとRevolitionの歌詞が頭をよぎった。まさに「あきれるほど悩みぬいて 出ない答え今はいらない」そんな状況だよ、ここは。リナだから割とさらっと流して捉えてましたが、NEXT終盤でリナが置かれてる状況ってかなりヘビーだったことに今更ながらに気がついた。ガウリイを人質に取られ、フィブリゾ相手に勝算ははっきり言ってゼロ。かといってフィブリゾの要求を呑めば世界が崩壊しかねない。どうすればいいのか、答えが見えない状況を自覚しながらも、ガウリイを救うため、今はとりあえずサイラーグに向かうしかない。自分のせいで仲間達を巻き込んでしまっている負い目もあったでしょう。この状況で、内心動揺しつつも、表面上は冷静を保っていられる精神力はやっぱすごい。
 さて、話変わってNEXTのクライマックス、L様降臨ですが、ここの演出は原作をベースにしつつもアニメ用に大幅にアレンジが加えられていて、何度見ても驚嘆してしまう。
 原作は原作で、一人称小説である形態を生かし、降臨の部分で語り手がリナからL様に変わるという妙技をやってくれてる。しかもその伏線は「あとがき」にあったいう、自称パズラーな神坂先生の真骨頂なシーン。でも、アニメではこの技は使えないですね。アニメは一人称じゃないし、あとがきなんてアニメしか見てない人はわからないわけですし…。
 まず、アニメ版はビジュアルが使えると言う強みを最大限に生かしてます。リナ憑依のL様めっさかっこいいです。ゼロスガン飛ばしは痺れるw
 また、降臨とフィブリゾ撃破の理由もアレンジしてある。原作は「呪文で呼ばれたからやってきてみたら、フィブリゾが攻撃してきてむかついたんで滅ぼしちゃいましたw」っていう偶発的な感じ。ここまで端的に言っちゃうとあとがきL様そのものですね。…あそこまでギャグにはなってはいないけど、L様にしてみたらほんとその程度の労力しか使っていないように感じる。こんな書き方すると、その前のリナの葛藤とか台無しな気がするけど、それだけL様という存在が大きな力を持っているってことなんだろうなあ、とか今思った。
 アニメ版はリナの「己の全てと引き換えにしてもガウリイを助けたい」という思いに応えて降臨し、その望みを叶えるためにフィブリゾを滅ぼしている。もし、リナがフィブリゾを滅ぼすことだけを望んで呪文を唱えていたら、L様が滅びの方向に召喚されてしまって、フィブリゾの企み通り、世界は滅びていたのかもな…とか思った。アニメ版L様は、人間であるリナに積極的に力を貸したことで「全てのものの母」という側面が強く押し出されている印象。でも、それは善意によるものではなく、あくまで「取引」。その後のガウリイがリナを追っていくシーンにも繋がっていくわけで、ドラマ性は格段にアップしています。やっぱアニメは映像で魅せなきゃね。
 あとは作画の話もしておこう。これも今更なツッコミかも知れないけど、毎回顔違うよな…。1話や最終話など、一部にものすごい気合の入った回はあるけど、全体を平均してみると、TV版スレイヤーズの作画のレベルは決して高くない。それでも演出と声優さんたちの演技でしっかり見れる形になっているんだからすばらしいと思う。アニメは総合力です。作画作業の遅れが懸念されているスレイヤーズREVOLUTIONですが、きっとアニメ作品として完成したものを見ればそんな不安は吹き飛ぶ…気がする。