スレイヤーズ新装版 あとがき&修正部分ネタバレ感想

あとがきの感想って何なのよ、って感じですが、本文は昔に読んでるんでまずはあとがきからですwあ、一応ネタバレです。

スレイヤーズ 1 (富士見ファンタジア文庫)

スレイヤーズ 1 (富士見ファンタジア文庫)

 1巻目は大きな修正があるので、その感想から。変更されたのは「リナが魔族ゾロムに火炎球を使う」と言うシーン。魔族に精霊魔法は効かない、というのはスレイヤーズ魔法の基本設定なので、シリーズが長く続いている現在、矛盾が出てしまっている。そこに修正が入り、「リナはゾロムを魔族と認識せずに火炎球を撃っていた」、という描写に変更されました。なるほど、確かにそれなら本筋は変えずに設定を守れる。しかし、元のシーンを知っているからかも知れないけど、少し違和感があります。「見た目がちょっと変なじーちゃんじゃなくて準魔族か!?」って、なんかそこだけすぺしゃるみたいなノリになってる。さらに言うなら、「人間形態に近い形を取れる魔族はある程度の高位魔族」、って設定に矛盾するような。でも「下級魔族」っていう描写も消えてる。ゾロム昇格?それならOK、と思いきや、2巻では明らかに人間形態とってない下級魔族と戦うハメにになるわけで、「ゾロムはあっさり倒したのにセイグラムとギオ=ガイア強いよね」、って話になっちゃう。まあ、ゾロムはその後すぐに頭がぱっくり割れたりして人間離れしちゃうし、「遠目に見たら人間に見える」程度の魔族だった、ってことで。やはり完全に矛盾をなくすには、このシーンをもっと根本的に変えないとダメなんでしょうね。そこまで大きな改稿には踏み切れなかったのかな。
 あと、せっかく直したシーンに誤植があるのは切ないw「じちゃん」て・・・。

 で、あとがきの話。L様が久々にあとがきを乗っ取ってしまいましたw某有名キャラと被った、って気にしてたのか・・・デスノートのLでしょうね。映画のタイトルにまでなったし。でも、L様の方が先ですよ、そこは大きく出てOKですよ。
 この1巻のあとがきは「はじめての人となじみの人がいるので取り仕切りに迷っている」との言葉どおり、ちょっと迷走したあとがきですね。あとがきのお約束を知らない人にはちょっと唐突だし、知ってる人にはあまりにお約束過ぎて既視感、って気がする。

 帰ってきた作者が担当する2巻のあとがき。作者単独って何気に初?倉庫脱出技が百八式まであるぞ、ってwジャンプネタの多いあとがきですね。ちなみに元ネタはテニスの王子様。ネットで大人気のセリフなので、詳しく知りたい人は「百八式まであるぞ」で検索したら山ほど出てくると思う。
 2巻目のあとがきは、ノリはいつもの調子だけど、中身は真面目にいい話が聞けて面白かったです。「話によって状況や味付けを変える」はスレイヤーズの基本とも言えるスタンス。それが1巻で魔王を倒しちゃったことから生まれたとは・・・さすが「転んでもただで起きたら貧乏人」という名セリフを生み出した作者なだけあります。「自分だけがちっとも成長してないきがして」とありましたが、文章は確実に今の方が洗練されていると思う。1巻読みながらそう思った。

 3巻目はまたL様。今後も交互なのか、4巻からいつもの漫才が始まるのか、あとがきの形式も気になるところ。
 今回もいいお話が続きます。なるほど、スレイヤーズが裏設定満載なのは、世界を決められたフレームの中だけに収めないための演出だったのですね。確かにあれだけ膨大な裏設定があれば、想像力かきたてられる。で、事実上「姉ちゃん登場しません」宣言が出てしまった。キャラクターに深みを出すことが狙いなら仕方ないな。姉ちゃんはあくまで想像して楽しむ存在なんでしょう。
 ズーマの設定はREVOLUTIONで使われるかも、って事で楽しみ。なるほど、「突然動機を語りだす」は、不自然だよな・・・マンガとかドラマとかではよくあるけど・・・。
 「作者の中でお話は(パズルのピースのように)組みあがるものだ」というのもすごい納得。だからこそ、1巻で完結のはずだったのに、1巻で出てきた「魔王の呪文で魔王は倒せない」って設定が最終15巻の伏線になっていた、という結果に繋がったんだろうな、とか思った。まさにピースが繋がった感じ。神坂先生の伏線の張り方はスレイヤーズに限らず、いつも何気ない描写の中に隠れてる。で、事実が分かったときに、一気に一つに繋がる感覚がある。その時の電気が走るような爽快感がとても好きです。

 最後に、表紙イラストのお話で〆。ワイドパノラマカバー、オールスター登場でいい感じですね。最初にこの絵を見たときは、てっきりCG彩色だと思ったのですが、こうして文庫を手にとって見ると、ぼや〜って感じの塗りなので、どうやら水彩だったっぽい。気合入ってます。あらいずみ先生の水彩イラストすごく好きなので嬉しいです。エンドレスに続きそうな予感がするこのパノラマイラスト、4巻以降も楽しみです。