なぜ今スレイヤーズ再アニメ化なのか

 祝!スレイヤーズ新アニメ化決定!ファン的には待望の新アニメ化なのですが、なぜ今?と思った方も多いはず。今日は「なぜ今スレイヤーズなのか」を勝手に検証してみたいと思います。私個人の意見だけでなく、今回のアニメ化の報を受けてのネットでの反応なども参考にしています。検証とかえらそうなことを言ってますが、あくまで1ファンの妄想、と割り切って読んでいただけると幸いです。

1.富士見書房の事情
 今年はドラゴンマガジン20周年!スレイヤーズも来年で20周年!それを記念してスレイヤーズ再アニメ化!・・・というのは・・・まあきっかけにはなったかも知れないけど建前でしょう。
 今の富士見はライトノベルレーベルとしての勢いが右肩下がりの状況が続いているらしいです。私は神坂先生の作品以外、ほとんどラノベは読まない人なので、自分の実感として感じているわけではありませんが、ネットでの反応を見てると、勢いが失速している状況が見て取れる。ここ数年、富士見はプッシュ作品をアニメ化し続けていますが・・・成功したのってフルメタルパニックだけではないでしょうか?そのフルメタも原作が世に出たのは既に10年前。それ以降、大ヒット作が出ていない状況のようです*1ドラマガ本誌では、「よりぬきフルメタ」「リバイバル連載」と称してフルメタの過去の作品を再掲載する連載が始まってしまいました。これは富士見の弱体化を象徴しているようです。
 ライバルの電撃文庫がコンスタントにヒット作を出し、スニーカー文庫からはハルヒという大ヒット作が生まれた。そんな状況で富士見は右肩下がり・・・。上記2レーベルは、ライバルと言うか同じ角川系列なわけですが、だからこそ、一つだけ落ち込む富士見にてこが入るのは自然な流れ。その第1弾がドラゴンマガジンの隔月刊化でしょう。「リニューアル」なんて銘打ってるけどスケールダウンしてるもんなあ。で、てこ入れ第2弾、そしてリニューアルの目玉として選ばれたのが・・・連載開始から19年を経過しながら、まだまだ大人気を誇るスレイヤーズだったのではないかと。
 スレイヤーズは一連のアニメ化が終了し、原作の長編が終了した後も、当時の勢いは衰えつつも、根強いファンに支えられ、文庫もコンスタントに売れ続けていました。すぺしゃるの新刊は現在でも10万部程売れるらしいです。
 なんでも、「ライトノベル名言図書館」さんによると、とあるラノベ編集者が

(富士見は)スレイヤーズの短編集。あれを出すだけで、会社の人間全員が食っていけます

 と語ったとか。多少誇張はあるでしょうが、富士見にとってスレイヤーズが今でも重要なコンテンツであることは間違いないでしょう。(以下、去年6月に上記の記事をお題に文章を書いたときの内容と被りますが)
 ところが、ここ5年ほど、ドラマガ本誌でのスレイヤーズは、その人気に見合うほどの扱いを受けていないように感じました。年に1回くらいは表紙を飾ったり、定期的に小特集が組まれたりはしていましたが・・・それ以上に新人の作品のプッシュに紙面を割いていました。まあ、これはむしろ当然。根強いファンがいてほって置いても売れ続けるスレイヤーズより、これからの新人の作品を大々的に取り上げて売り出していこう、そんなコンセプトで紙面を編集していたんじゃないかと。で、プッシュ作品を次々とアニメ化していった・・・でも、結果はあまり芳しくなかった。
 そこで富士見は最終カードを切ってきました。スレイヤーズをもう一度プッシュ・アニメ化して雑誌を、レーベルを盛り上げていこうと。元々根強いファンがいる作品です。アニメ化を期に戻ってくるファンもいるでしょう。そこに新規のファンも加わる。・・・手堅い商売です。でも・・・正直なところ苦肉の策ですね。10年以上前のヒット作に頼らざるを得ない状況なのですから*2。もっとも、スレイヤーズファンとしてはどんな形であれ再びスポットライトが当たったことは嬉しい限りですが。

2.世はリメイク・続編ブーム
 最近アニメに限らず、ドラマや映画でもやたらと昔の作品のリメイクが多いですよね。新しい作品でもヒットすればすぐ続編が作られたり、脇役キャラを主人公にして新たな物語を作るスピンオフなんて言葉も一般化した。アニメで言えばエヴァンゲリオン新劇場版ゲゲゲの鬼太郎ヤッターマンのヒットが記憶に新しいところ。
 どうしてこのようなブームがおこったのか、それに関する考察はここではしませんが、スレイヤーズもこの流れに乗ったのではないかと。DVD-BOXも売れたようですし、いいものは時代を超えていい、ということなのかな。

3.スターチャイルドの事情
 これはほんと憶測中の憶測なのですが・・・スタチャ的には出産後、活動を控えている林原めぐみさんにもっと歌ってもらいたいんじゃないかと。
 「もう歌うことはないかと思っていた」と語っていた林原さんが歌手として復帰したのはスレイヤーズのアニバーサリーイメージソングMeet againでした。これが売れた。10年前のアニメのイメージソングというタイアップとしては弱い形ながら、オリコン12位に食い込みました。林原さん人気、スレイヤーズ人気がまだまだ健在であることが証明された瞬間でした。林原さん本人が作詞した「Meet again」の歌詞は10年経ってもリナらしさを失わず、また歌詞の中に過去のシリーズのタイトルや主題歌名をつめる、といったお遊び的要素も含まれていたり、と林原さんのスレイヤーズに対するモチベーションの高さを強く感じられる1曲でした。
 林原さんは声優としての活動も控え気味で、産休からの復帰後もレギュラーや過去の作品以外はほとんど新規の仕事を受けない状況が続いていました。でもラジオでのトークなどを聞いていると、逆に自分の持ちキャラへの思いは強かったように感じます*3
 そこでスタチャは、林原さんにスレイヤーズという、主役を演じつつ主題歌も歌えるコンテンツを再び用意したのではないかと。スレイヤーズならまたやってくれる、そんな思惑があったんじゃないかなーと憶測。

4.林原めぐみさんの事情
 これは3番と関連する項目です。昨日のハートフルステーションで、林原さんご本人から、

・実は正直前も何度か復活するって話はあったんですよ。でも、枠がどうだとか、OVAでやるのか、劇場でやるのか・・・みたいな感じで流れてた。
・私も身辺がジュニアも幼稚園に入るということで落ち着いてきて、レギュラー1本増やせる余裕が出来ました・・・別にそれで延びてたわけじゃないですよ。

 との発言がありました*4。「そのせいで延びたのではない」、と断り入れてましたが、タイミング的に丁度マッチしたから今、って言うのはありそうですね。
 スレイヤーズはアニメに限った話をすると、林原めぐみさんとセットでヒットしてきた作品です。林原さんにまさにはまり役なリナ役、そして主題歌。これなしにアニメ版スレイヤーズは語れません。リナ役を変えてまでの再アニメ化は、従来のファンの反感を大きく買う事になるでしょう。なので、やはり「今」が最適だったのではないかと思うのです。

5.10年という歳月
 最初の一連のアニメ化から約10年。当時所謂「子供のとき見てました」世代も既に大学生〜社会人になっているでしょう。私含め、「既にオタクとして見てました」の人は言わずもがなの年齢に。彼らがこの10年で手に入れたもの・・・それは大人買いできる財力!当時必死に録画したビデオを見ていた子供も、今はDVDを買ってくれるでしょう。関連グッズも買ってくれるでしょう。10年の歳月の間に普及したインターネットは、都会から遠く離れても関連グッズを買えるようにしてくれました。文庫の新装版を出せばそれも買ってくれるでしょう。
 要するに・・・商業的な見返りが期待できる。大人買いっていうのは恐ろしいものですよ。踊らされてるのは分かってるんだけどさ・・・止められないんだよ・・・。

 と、そんなこんなの事情・思惑・見込み・時流などがうまい具合に重なって、スレイヤーズ新アニメ化の運びになったのではないかと予想しております。もちろん根強いファンの声も大きかったと思いますけれども。

*1:私はラノベあんまり読まない人なので、隠れた名作があるのかもしれませんが、逆に言うとそんな私が感じるほど、「大ヒットした」と思える作品がフルメタのみ、というのはあながち間違った認識ではないと思う。

*2:鋼殻のレギオスも次号重大発表だそうで、こちらもアニメ化の可能性は高いです。新人プッシュも同時に行う模様。

*3:シャイニングティアーズのブランネージュ役降板騒動など、残念ながら続投できなかった例外もありましたが・・・。

*4:雑音・うろ覚えによる要約です。発言そのものではありません。