ハガレン劇場版感想第2弾(バレあります)

 品切れ店続出らしい劇場版シナリオブック。アマゾンからやっと送られてきました。決定稿及びプロトタイプ原稿を収録しており、読み応えたっぷりの1冊です。設定資料などもありますので、劇場版を面白いと思った方にはかなりお勧めです。これで980円はお買い得です。
 さて、シナリオブックを読んでいたら、また色々思うところがあったので、シャンバラを征く者感想第2弾です。(以下、ネタバレ)

 今回の劇場版、兄弟愛というテーマの他に、脚本家さんがインタビュー等で繰り返し語っている「人は自分の今生きている世界とは無関係ではいられない」という考えが前面に押し出されています。錬金術世界へ戻ることを第一に考え、現実世界の人々とあまりかかわろうとしないエド。差別という現実から逃れたいがため、別の世界へ渡りたいと考えるノーア。そして、シャンバラという理想郷を夢見るエッカルトらトゥーレ協会の面々。彼らは今自分がいる状況に満足できず、「ここは自分の世界ではない、どこか他の場所に自分の本当にいるべき場所がある」と考えている。そんな人々の思いが交錯する中、エドはアルフォンスの「僕はあなたの夢の中の存在じゃない」という言葉に諭される。例えそこが本人にとって「自分の居場所じゃない」と思える場所であっても、そこに存在している他の人々はその場所で一生懸命生きていると言うことを。このテーマには色々考えさせられました。
 生きていれば、自分の思い通りにならないこと、やりたくなくてもやらなければならないことがたくさんある。そこから逃げて、別の世界・・・空想や理想の世界に思いを寄せても、今生きている世界がその人にとっては現実である。それを否定してはいけない。もちろんエドにとっての錬金術世界のように、自分の理想の世界は他に存在しているのかもしれない。だけど、「今」をないがしろにしてはいけないんだ・・・。そんな風なことを思いました。・・・まあ、私がこれからの人生でそれらを実践できるかどうかはまた別の問題なわけですがorz。
 んで、このテーマ自体はとてもよかったと思います。でも・・・「鋼の錬金術師」という作品でやるべき内容だったのか?という点はちと疑問です。まあ、主人公が異世界に飛ばされた、という設定からこのテーマが生まれたのは自然な流れでしょう。更にはこのテーマによって、この映画に深みが出たことも事実です。でも・・・、やはりTVシリーズの続編である以上は、別の世界とのかかわりより、ハガレン世界のキャラとの関わりを大切にして欲しかった、思ってしまうのです。結局はここに行き着いてしまうのですが、・・・やはりウィンリィの扱いが切なすぎます。第3期EDにも象徴されていた通り、ウィンリイはエドとアルにとって「帰る場所」だったはず。それを・・・一人置いてけぼりですかい_| ̄|○。この辺をもう少し考慮して欲しかったです。