11/24スレイヤーズオンリーで「スレイヤーズ歴史学」頒布します!

 こんばんは。すっかりご無沙汰しております。告知しておりました「スレイヤーズ歴史学」無事入稿が完了いたしました!本当はこのブログに制作日記的なものを書こうかと思っていたのですが、そんな余裕はなく…結局完成後の報告になってしまいましたヽ( ;´Д`)ノ。でも無事入稿できてよかった…!ってことで、本の情報とスペースNo.などを。

11/24(土)11:00〜15:00 スレイヤーズオンリー「とことん!スレイヤーズ
会場:川崎市産業振興会館 4階 企画展示場

サークル名:名称未定2ごう+スレイヤーズ学会
スペースNo.A-10

新刊:考察本「スレイヤーズ歴史学」(ドラまた新書)
オンデマンド印刷 新書サイズ 112頁 予価:500円 
概要:
想像力は無限大のスレイヤーズ。その世界に…魔族に…人に…リナに歴史あり!
L様っていったい何もの?降魔戦争はどんな戦いだった?伝説のあの人たちの活動年代は?リナは何歳ごろから魔法が使えたの?長編シリーズの時間経過はどうなってるの?そしてリナの未来の姿とは?
スレイヤーズ世界の「歴史」にスポットを当てた考察と年表で贈る歴史読本
表紙:

もくじ
第一章 世界の創生〜神魔の戦い 9
    世界の創生とL様の謎 11 / 竜神と魔王の戦い 18

第二章 降魔戦争 23
    元祖・降魔への道標 27 / レイ=マグナスの秘密 32

第三章 人の歴史 39
    レティディウスの遺産 44

第四章 リナ=インバースの時代 〜生い立ち編〜 49
    リナの生い立ち 56 (付録:カテゴリー別リナのおいたち)

第五章 リナ=インバースの時代 〜すぺしゃる編〜 63
    すぺしゃるの時間軸 69

第六章 リナ=インバースの時代 〜本編年表〜 75

第七章 リナ=インバースの時代 〜そして伝説へ〜 103
    その後のスレイヤーズ 106

☆その他頒布予定
スレイヤーズ学会名義 
 2011年10月発行「Slayers Wisdom 2」(学会誌第2弾)
 半島地図ポストカードフリー配布

ひよこ本舗名義 (はまりや&しろのさん合同)
 2011年10月発行 「しゃべくりスレイヤーズ」 (フリートーク本)
 2012年3月発行  「Days」(ガウリナ小説本)

既刊本も持込み予定です。(詳細別途)

 とまあ、だいたいこんな感じです。表紙を見ての通り、装丁に関してはかなりの素人本で恐縮です…絵が書けないのを逆手に取り、シンプル表紙して「ドラまた新書」ってことで新書サイズにしてみましたw
 でも、中身は結構がんばりましたよ。各章、基本的に年表+気になる話題をピックアップした考察読み物、という構成です。ただし、本編は年表に注釈をつけまくったものになります。原作本を机の横に積みつつ、7月くらいから作業を始め、データ取り取りすること3か月(と言っても途中ダラダラしたり遊んだりしてたけど)…なんとか形になりました…!書く作業は生みの苦しみはありつつも楽しんでやれたものの、かなりの私得本で見る人が楽しいのか悩んだりもしたのですが…「需要はなくても供給する」同人誌精神の元、ドラまた新書出しちゃいます!
 とまあ、肝心の中身のサンプルを出さなきゃ何が何やら、ですね。以下にサンプルを載せます。当日、お手に取って頂けたら嬉しいです!

■年表サンプル(改)

拡大表示
 Twitterで「ドリル形式にしたら面白そう」というご意見頂いたので、予習用穴埋め形式にしてみますwこちらはドリル形式にするため体裁は変更しています。答えは本誌で…!
■考察読み物サンプル
レイ=マグナスの秘密
 さて、フィブリゾの作戦は見事成功し、魔王シャブラニグドゥが復活することになるのだが…ここでは魔王の依り代であった、レイ=マグナスについて確認していこうと思う。
レイ=マグナスの存在は長編1巻の時点で「ドラグ・スレイブを編み出した賢者」として名前が挙がっている。彼はこの術で千六百歳のアークドラゴンを退治したとされる(本編・新1巻 220頁)。この時はいつごろの人物なのか触れられていなかったが、長編5巻で「千年前の魔道士」とはっきり明記された(本編・新5巻 72頁)。同じシーンで、「暴爆呪(ブラスト・ボム)を使うことができた唯一の人間として知られる」ことをリナが語っている。
 このように、レイ=マグナスは人間たちの間では、あくまで「伝説の魔道士」としてのみ知られる人物で、彼が魔王の依り代であることは知られていないようだ。降魔戦争に参戦していたミルガズィアですら、魔王復活の経緯は把握しておらず、【魔王復活の現場に居合わせ、生き残った者は一人としていなかった】と語る(本編・新13巻 16頁)。彼は、魔族に対抗する武器を開発するため、水竜王の知識の奔流である異界黙示録(クレアバイブル)の元に通っていた(本編・新13巻 66頁)。その過程で、魔王復活の経緯を問いかけていたかもしれない。もし異界黙示録に問いかけても満足な回答を得られていなかったとしたら、水竜王も魔王復活の経緯についての情報を持っていないということになる。ひょっとしたら知るのは魔族のみなのかも…? (続きは本誌で!)

スレイヤーズあでぃしょん ナーガ偉人伝ネタバレ感想

スレイヤーズ祭第三弾特典、「ナーガ偉人伝」読みました!読んでいて今更ながらに「私ずっとこの人のファンでいよう…」とかしみじみ思っちゃった…というのもこのナーガ偉人伝、まさにスレイヤーズ祭に参加しているスレイヤーズファンのために書かれたものだ!と思えたから。なんかあくまですまっしゅ。の延長にありながら、ファンサービス満載なんだわ。
以下、ネタバレで暴走します。

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11/23「とことんスレイヤーズ」(秋オンリー)に参加予定です。新企画始動…!!

 とりあえず、告知!秋のスレイヤーズオンリーに参加予定です。今回は「名称未定2ごう+スレイヤーズ学会」として申し込みました。学会関連は今のところ既刊の学会誌第2弾の頒布を予定しています。学会としての新刊はありません。今回は「メンバーが各自本を持ち寄る。すべりこみもOK」という形になりまして。でも、詳細はまだ未定。
 とりあえず、私は新刊を予定してるので、「名称未定2ごう+スレイヤーズ学会」で申し込みをさせていただきました。
 新刊…考察本新企画…スレイヤーズ歴史学の発刊をここに宣言します!!スレイヤーズ世界の歴史にスポットを当てて考察本作っちゃおうかなあ、と。Evernoteからアイデアメモひっぱり出してきたのでのっけて見る。

創生〜新魔戦争
降魔戦争
人の歴史
リナ=インバースの時代 〜旅立ち前
リナ=インバースの時代 〜すぺしゃる・すまっしゅ
リナ=インバースの時代 〜長編
リナ=インバースの時代 〜そして伝説へ

 こんな感じでまとめる予定。あくまで予定。前回の学会誌で「旅のしおり」というコンテンツを学会メンバーとまとめたので、それを年表形式にしたものもできたらいいなあとか思ってる…あくまで予定(大切なことなので2回言いました)。
 さあ、予定とはいえ、言っちゃったのでがんばらなきゃ…!まだ原稿創生あたりしか書いてないけど!がんばる超がんばる!今回は本作りも一人でやらなきゃなので、かなーり手探りです。でもなんとか頑張っていきたいと思いますので、考察本にご興味がある方は生暖かく見守っていてください…。今後も情報はこのブログに載せていく予定です。何卒よろしくお願いします!

小説本他通販始めました。あと、ちょっとだけ「恋するオトメ」裏話。

しゃべくりスレイヤーズ&Days 通販始めました

 春コミで発行した小説本その他の通販を始めました。すまっしゅ。5巻「恋せよオトメ」の続編パロディ、その名も「恋するオトメ」などやってます。詳しくは上記のリンク先から…。

 と、宣伝だけでも寂しいので、ちょいと「恋するオトメ」裏話を。
 原作「恋せよオトメ」…あれを読んだとき…これは「ガウリナで妄想すべき!!」と思い立ったのが、大元のとっかかりです。だっておいしいんですもの、ロマンスハイヴ設定wwリナが奴らの「ロマンス技」…要はベタという名のおいしい展開に巻き込まれる理由づけができてしまうというかw詳しくは本編で!
 あとは、個人的にこだわったのが、リナが依頼を受けるまでの過程のシーンです。本作もすまっしゅ。パロディとして、とある依頼から始まるわけですが…このリナと依頼人の交渉の過程はすぺしゃる〜すまっしゅ。の醍醐味の一つかなあなどと思っておりまして。リナって「なぜ依頼を受けるのか」「なぜ動くか」の理由づけがはっきりしているんですよね。と言っても必ずしも論理的なわけじゃなくって、「好奇心」とか「なんかこのままほっぽっておけないし」みたいなフィーリング的な理由の場合も多々ありますが。その理由がまず示されるのが交渉パート。リナの思考が読者側に提示されることで、リナと同じ視点で自然な流れで読んでいける…そんな楽しさがあると思うんです。
 で、その理由づけから逆に「どういう風に持っていったらリナがこの依頼にYesと言うのか?」…などと考えながら書いてみました。…やたら無駄に長くなった上に自然な流れになっているか不安だけど…簡潔かつテンポよくこの依頼パートを書く神坂先生はやっぱりすごいです。まあ、それはさておき、書き手としては、この冒頭部分、かなり楽しんで書いていました。そんなテンションが少しでも伝わったら嬉しいです。
 本作、すまっしゅ。パロということで、全体的にギャグ話です。Twitterにも書いた話なのですが、嬉しい誤算話を再録。先日ホビーラウンド7の時に、読んでいただいただーくまろさんに感想話などをありがたくも頂きまして、その中で、「オチがページをめくった後にちょうど来ているところがあるのですが狙ったんですか?」*1というツッコミを頂いたんですね。手塚治虫先生が考案したとされるいわゆるマンガの定石というやつ。…ほんとだ…!!本当にそうなってる!!はい、偶然ですw気づいてませんでした…wふおおおお!これでギャグが一つ生きたなら本当に嬉しい誤算です。

 以上、ちょい裏話でした。

*1:実際には具体的にシーンご指定いただいていますが暈しておきます。

冥王フィブリゾの敵キャラとしての完成度はパねえ

 Twitterに書いた話の再録まとめです。TLに大量投下したところ、好評頂いて嬉しかったのでサルベージします。

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 スレイヤーズ原作1部及びアニメスレイヤーズNEXTのラスボスである冥王フィブリゾ。彼の敵キャラとしての完成度って至高だと思うの。ほんとよくできた敵役だなあと。以下、順を追って語ってみる。

1.絶対的な力
 とにかくリナにとって、絶対強者なフィブリゾ。ある意味戦った魔族の中で最強なんじゃなかろうか。魔王は人間を内包しちゃってる分、ウィークポイントになる隙がある。さらに言うなら、魔族は基本人間をなめていてそこが弱点になる場面もあるんだけど、冥王フィブリゾはその基本姿勢を持ちながらも、それが弱点にならないくらい圧倒的に強い。あれだけ苦戦しても倒せなかったガーヴをあっさり倒しちゃうフィブリゾ、という演出もベタな良さが。
 改めて考えれば、リナvsフィブリゾの戦いも勝負の上ではフィブリゾの勝ちと言えるだろう。魔族の真の恐ろしさを見せてくれた存在だった。リナはそんな強敵と対峙し、勝負には敗れながらも、「L様」というジョーカーの存在により生き残る、という結末には「お見事!」と唸ってしまう。

2.決して相容れない「魔族」という立ち位置
 敵キャラの立ち位置って、主人公にとって共感できるかできないか、ってところである種の分類ができるのかな、とか思う。スレイヤーズ本編でいうと人間敵の場合にはリナも情が移ることが多い。でもフィブリゾは完全に後者―リナにとっては敵以外の何物でもなく、生きるため…ガウリイを助けるためには倒さなくてはならない存在。敢えて言いきってしまうとリナから見れば「絶対悪」なわけで。
 しかし、フィブリゾはフィブリゾで「滅びを望む魔族の本分」としてリナを利用した世界の滅亡計画を立てている。フィブリゾのこの戦う理由は「人間とは存在理由が異なる魔族」という設定そのものと言いますか。この魔族の立ち位置って、シンプルかつ独特で面白いと思う。
 考え方の違う両者は決して相容れず、敵対関係は揺るがない。リナも戦うという選択肢に不安や迷いはあっても、それは力の差やガウリイを人質に取られているという状況から来るもので、相手への感情的な面からのやりにくさではない。逆に「情が移る敵キャラ」は二部の方に集大成としてルークが登場することになる。ここでリナは、力量差云々の前に、戦うこと自体を否定し、葛藤することになる。この対比も面白いなと思う…けどそれはまた別の話。

3.不敵な策士っぷり
 フィブリゾの作戦って、あまりに事がうまく運びすぎて、思わずニヤニヤしてしまうほど。「リナを利用して何かをたくらんでいるとガーヴの部下に漏らす」というトリガーから、駒たちが面白いように踊らされている。
 概要をまとめると…フィブリゾの目的は2つあった。一つ目は離反者である魔竜王ガーヴを誘き出すことで、もう一つはリナに重破斬を使わせ、暴走させて世界を滅ぼすこと。影ながら勢力拡大を狙っていたガーヴ一派は、リナを殺そうとして、逆に引っ掻き回され、目的を果たせぬまま、ついにはガーヴ本人までがリナを殺そうと姿を現すことになった。一方、リナは自分の生命を狙う魔族に対抗しようとL様の力を求める。それこそが真の目的とも知らずに…。
 言うなればフィブリゾドミノの最初のひと押しをしただけで(ゼロスをお目付け役につけてるけど)、あとは勝手に駒たちが動いて計画通りに事が進んだ…これはフィブリゾ視点で見ると「計画通り!」ってニヤニヤしたくなるエクスタシーだよね。嫌な奴め。一応誉め言葉ですよw
 で、このフィブリゾの計画というのは1部(NEXT)の構成の核となっているもの。一見バラバラに見えた事件はすべて繋がっていて、しかもその先には壮大なドラマが!という構成。読者(視聴者)的にもエクスタシーを感じずにはいられない!

4.陰険な性格
 フィブリゾは、特にリナ視点で見た場合…とことん嫌な奴だと思う。NEXT終盤、じわじわとリナはを追い詰めていくフィブリゾには心底腹が立った。と言い切ってしまうと、語弊あるかもだけど、これも敵キャラとしての魅力だと思うの。リナの心理と視聴者の心理をシンクロさせる演出の妙。「子供の姿」というのもキーになっているよね。本人も言ってる通り、うっかり騙されるわ、ギャップ萌えだわ…。

5.そして崩壊
 絶対的な強さと用意周到さでリナを追い詰めたフィブリゾは、根本的な勘違い…L様ご本人降臨により滅びることになる。原作はあとがきを利用したまさかのギミックの面白さがありつつも、滅び際はあっさり。L様一人称なこともあり、あくまでL様視点でことが進む。
このあっさりさも魔族らしいんだけど……アレンジの加えられたアニメ版でこそ敵キャラとしてのフィブリゾの完成度が高まったのかな、と私は思う。
 NEXT最終話で彼は今までの余裕はどこへ?ってくらい崩壊していく。顔芸しかり、逆ギレ暴走しかり。前半はフィブリゾオンステージと言っても過言ではないくらい。今まで順風満帆だっはずの作戦が…大元が間違っていた。これは大ショック!原作とは異なりフィブリゾ視点で進む滅びへの序曲。そして名セリフ「あなたに…そう創られたんだからなあ!」…これを聞いたときに1〜4で語ってきたフィブリゾ観が一気に逆転した。…「なんだかちょっとかわいそうだな」と。滅ぶために存在しているという矛盾した魔族の生き様は生まれたときから決まっていたんだなぁ…。もちろん人間としての感想なので、魔族から見れば大きなお世話なのかもしれませんが。リナとは合いいれぬまま倒れたフィブリゾだけど、最後にちょっとウェットなところを見せたことで、視聴者的には少し歩み寄れたように感じる。感情移入できた、ってやつかな。

 以上、長々と語ったけど…絶対的に強く、魔族として人とは違う価値観を持ち、巧妙な策でガーヴとリナを手玉に取り、嫌な敵としてリナを追い詰めながら、最後はかわいそうだなと思わせて散っていく…そんなフィブリゾの完成度の高さはパねえ。

3月18日の春コミ スレイヤーズプチオンリーで小説本を出します!

 
 スレイヤーズプチオンリーで小説本出します!しろのさん&はまりや合同誌です。
 スレイヤーズ学会スペースの片隅に置かせていただく予定です。

HARU COMIC CITY 17内 スレイヤーズプチオンリー
大魔王の食べ残し
日 時:2012年3月18日(日)
スペースNo:西2ホール そ‐7b
サークル名:『スレイヤーズ学会』

 詳細は専用ブログを立ち上げたのでそちらを読んでいただけたら嬉しいです。
 ひよこ本舗
 3月18日の春コミ スレイヤーズプチオンリーで小説本を出します!
 「DAYS」収録 「恋するオトメ」(はまりや) 紹介と試し読み
 「DAYS」収録「Learn to fry」紹介と試し読み
 その他、ブログにはしろのさんが書いたSSも掲載中。私も何か書けたらいいのですが…シバラクジカンヲクダサイ…w
 
 新刊、ブログ共々、よろしくお願いします。

本編15巻でなぜリナはゼラス・ファランクスを発動できなかったのか?

 もうすぐ春コミ!スレイヤーズプチオンリーです。スレイヤーズ学会スペースでは考察本・学会誌第2弾を初頒布します!詳しくはリンク先を参照してください。
スレイヤーズ学会 学会誌2「Slayers Wisdom」
 プチオンリー参加記念、というわけで、ちょっと考察でも書いてみます。第1弾の時に懸案だった、「本編15巻でリナがゼラス・ファランクスを発動できなかった理由について」。第1弾の論文は学会サイトで公開中です!こちら参照。このリンク先にある前回の私の考察を前提に話を進めてみます。

 一応解説しますと、問題のシーンは本編15巻の224頁。最近神坂先生がリアルタイムで戦略を考えていたっぽいことが発覚して激熱なルーク=シャブラニグドゥを倒すために思考錯誤している場面の一幕ですね。
【「獣王牙操弾(ゼラス・ブリッド)っ!」
 獣王ゼラス=メタリオムの力を借りた術 
 (中略)
 その術をあたしは――イメージの中で五本に分裂させた。
 正確にいうなら、頭の中瞬時に思い描いた呪文にアレンジを加え、同時に映像イメージも想起する。
 呪文のアレンジ方法は簡単。
 一本の炎の槍を、多数の炎の矢に分裂させるのと要領は同じである。
 むろん、現実では、獣王操牙弾を分裂させることなど不可能である。
 だが魔力の濃いこの世界なら――
 しかし。
 生まれ出た光条は一本のみ。】
 正確に言うなら「獣王操牙弾の分裂に失敗」という状況。ですが、13巻でミルガズィアさんが「ゼラス・ファランクス」という獣王の術を借りたっぽい、光弾をいくつも打ち出す術をを使用している(13巻・227頁)ので…ここで、リナが使おうとしたのは「ゼラス・ファランクス」をヒントにした術で、その発動は失敗に終わった、と仮定します。
 学会誌第1弾に寄せた拙稿では、魔法の発動条件について考察しています。それを元に、いったい何が失敗の原因なのかを考えていきましょう。
1.魔力が足りなかった
 リナは、大気に魔力が満ちた世界であっても、ゼラス・ファランクスを発動させるに足る魔力を得られなかった…そう考えてしまうのが一番簡単な答えでしょう。
 竜族であるミルさんは、人間よりも巨大な魔力を有しており…その魔力がゼラス・ファランクスの発動の源だった。人間リナの魔力+大気に満ちた魔力<ミルさんの魔力 という仮説ですね。
 ただ、リナはこの後にシーンで神滅斬2刀という、猛烈に魔力が必要になりそうな魔法を使ってるんですよね。しかも魔王によれば、長時間の神滅斬の発動も可能なようなセリフもあり…。
 となると、必要魔力量は神滅斬(2刀)<ゼラス・ファランクスとなります。一見するとL様呪文より魔力が必要って…どうなの?と思いますが…そもそも、神滅斬ならリナは増幅が必要とはいえ、元の世界でも使用は可能。そして、…威力では神滅斬<重破斬なのに、必要な魔力の量は神滅斬<重破斬なんですよね。そう考えると、「使用される魔力の量は必ずしも威力には比例しない」と言えると思います。恐らくは、ゼラス・ファランクスは光を分裂させ、それを自在に操る、という部分に多くの魔力を必要とするのでしょう。そう考えれば、「魔力が足りず、ゼラス・ファランクスは発動しなかった」という仮説はあり得るんじゃないかと思います。

2.呪文が不適切だった
 これは上げ足取りのような感じになってしまいますが…力あることばが「獣王操牙弾」だったからダメだったんだ!「ゼラス・ファランクス」だったらうまくいってたよ!という説ですね。
 ただ、「力あることば」は「絶対それじゃなきゃダメ」というほど縛られたものではないようなんですよね。すぺしゃる設定だけど「心眼ボンバァ」で炸弾陣発動させた人いるし(すぺしゃる23「ブレイク・オブ・ディステニー」より。123頁)。
 それを思えば呪文(「力あることば)は関係ないかも…と思いつつ、3項目のイメージに関連しますが、「獣王操牙弾」と発したことで、イメージが引きずられてしまった、という可能性も。
 リナが例を挙げている「炎の槍」と「炎の矢」も「フレア・ランス」「フレア・アロー」と力あることばは分かれているわけだし…。あ、余談ですが、この解説を見るに、術の難易度は「炎の槍」<「炎の矢」なんですね。
 とまあ、第2説は少し強引かもですが…「リナはまだ動揺していて新呪文試すのに力あることばを言い間違え、それゆえうまく発動しなかった」説として挙げておきます。

3.イメージが不十分だった
 術の「イメージ」が正確ではなかった説。でも、例の箇所を見ると、【呪文のアレンジ方法は簡単】と、リナはかなりイメージに自信を持っている印象を受けます。なのに発動しなかった。ぶっつけ本番で使った術なので、何かしら足りない要素があったのかもしれません。拙稿後半で仮定したイメージに「意思の力」を乗せる過程がうまくいかなかったとか…。これも本人の趣味や趣向に影響されたのかもしれません。同じくぶっつけ本番の神滅斬2刀はうまくいったことを考えると、リナと神滅斬は相性がよさそうですね。
 3番目は「イメージ・トレーニングをしていない付け焼刃状態だったので、発動するかは相性次第だった」という説でまとめてみる。 
 さて、いろいろ考えてみましたが、1〜3のどれか一つが原因なのか、はたまた複合的な原因なのか…答えはあの魔力が満ちる空間の中…。